アラフォー以上の世代なら、1980年代後半から90年代の”ヨンクブーム”をご記憶だろう。今から思い返すと、ヨンクブームはスキーブームとほぼセットだった。当時、スキー場につながる冬の関越道でベンツやポルシェ、いやフェラーリよりはるかにカッコよく輝いていたのが三菱パジェロである。

 本格ヨンクは今や日本では一部の好事家(こうずか)が愛でるだけのカルトな存在だが、アラフォーの青春だったパジェロは昨年クリーンディーゼル車が追加されてから人気も復調気味という。しかも、今回連れ出したパジェロの最上級グレードは当時の憧れだった”スーパーエクシード”という名のままで、関越道で後光が差していた伝統のツートーンカラーも健在とは、元スキー小僧オヤジは涙が止まらん。

 見た目も乗り味も軽快な昨今の新鋭SUVと比較すると、パジェロは小山のようにでかい。実際の大きさはミニバンのアルファードやエルグランドと同じくらいだが、フロアはよじ登るように高く、運転席に座るとミニバン以上に周囲を見降ろす視線になる。

 今回は雪道はおろかウェット路すら乗らず、すべて乾いた舗装路での試乗だったが、それでもとっても豊かで楽しい気持ちになれたのは、昔を思い出したからだけではない。パジェロはとにかく運転しやすいのだ。せまい道でも不思議なほどストレスを感じない。

 パジェロの運転席に座ると、目線が高く、ドラポジも自然と少し立ち気味になる。そのわりにダッシュボードその他の操作系はちょっと低め。室内幅はドーンと広いが、センターコンソールが太くてシートが外側に押し出されており、ドア側の空間は意外にタイトだ。ドアミラーを覗くと、テールランプの角がぴょこんと飛び出して見える。

 こうした要素はすべて、もちろん意図的にそうなっている。パリダカの例を出すまでもなく、パジェロは今もなお、本物の悪路や僻地で命を預かるクルマとして真摯に作られている。極限状態ではなにより、一歩間違えば死に直結する脱輪が最も恐い。というわけで、パジェロのようなクルマはとにかく車両感覚とタイヤ位置が手に取るようにわかる設計になっているわけだ。

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