【内気なクヨクヨさんのための心理ハック】あなたの知らない“あいさつ”の裏表

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“内気でクヨクヨしやすい人”というのは、どの時代にも一定の割合でいるものです。かくいう僕も若い時そうでした。今はクヨクヨはしませんが、内気は相変わらずです(おじさんなので少しは図々しくなりました)。

内気というのは、心理学でいえば内向的ということです。それなりのよさも魅力も強さも持っています。でも、今の社会は昔より内気な人には厳しいような気がします。内気な人がよさを発揮するのを待ってくれません。下手をすると視野の外にはじきだされ、ダメな人としておいていかれてしまいそうです。

でも、表面には現さないまでも、どんな人にも内気な部分ってあるのではないでしょうか?

内気すぎて外の世界とうまくかみ合ないことが続くと、うつ傾向に近づいていきます。この心理ハックは、そのような閉じた回路に陥らずに、精神をいつも元気に保つためのものです。

今回は“あいさつ”という日常の一コマにおける“心と言葉の裏表”を観察しましょう。そんな簡単なもの、わかってらあ、と言わずに読んでみてください。

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1.朝のあいさつはエネルギーの交換である
朝起きたとき、人はまだ眠りや夢の続きを引っ張っています。閉じた心の中で「眠いよ、まだ起きたくないよ、会社(学校)行きたくないよ」というようなことをブツブツとつぶやいている人もいるでしょう。マンガでいうと、モクモクとつまらない想念が渦巻いているような絵柄です。鏡を見てごらんなさい。あなたは不機嫌な顔をしています。

しかし、まだ起きたくないよ、といっても寝ていられないなら、すっきりと気分転換したほうがトクでよい一日になります。家族と同居なら、そういうときは「おはよう!」という言葉で吹き飛ばしましょう。あいさつの習慣がない相手は「おはよう」の返事をくれないかもしれません。それでも明るく毎朝「おはよう」と言いましょう。そのうち返事が来るようになります。

自分自身が発声するということが、そもそも朝のモクモク想念を振り払う効果があります。相手から「おはよう」が返ってくれば、相手の“気”のようなものも入ってきます。お互いに不機嫌に黙ったままでは、つまらない話はしたくないでしょう。ちょっとした小さな話も「おはよう」の後ではスムーズに出てきます。あいさつ次第で、一日の気分が変わり、その後の展開が変わることもあるのです。

2.あいさつはグルーブ参加への合図である
先日、小さなお芝居の台本を書いたのです。芝居では稽古場に行くと夜でも「おはようございまーす」というあいさつが聞こえてきます。アングラ芝居ながらも、芸能界という感じでした。照れくさいのと、稽古中だったりするので僕はあまり大きな声で言えませんでした。

集団の中に入って行くときのあいさつは難しいです。内気な人は「自分のようなものが空気を破って注意を引きたくない」と思ってついモゴモゴしてしまいます。

たしかに、何か作業をしている集団は目に見えない空気の膜の中にいるようです。そこにどう入って行くのか。

だんまりで入って行くのはいちばんまずいです。この膜の内側にいるのか、外側にいるのかわかりません。だから、リーダー的な人はそういう態度にはイライラします。遅れてきた人にすぐにでも用事を頼みたいと思っているかもしれません。しかし、黙って入って来られるとその心づもりがあるのかないのかわかりません。やはりおはようございます、とすっきりした声を出して、スタンバイできているという気合いを見せてみましょう。

そういうわけで、職場の新人などは必要以上に大声で「おはようございます!」というように指導されます。あまり怒鳴るようにいうのは耳障りのいいものではありませんが、黙っていたりボソボソしていたりするよりはずっといいのです。

「空気が読めない」という言葉が流行ったように日本人は空気を大切にします。その場の空気の中に入るために声を出すのです。小さな声で済ましたければまだ人の少ない早い時間に行くことです。それだけで空気の中に入りやすくなります。

3.あいさつはバロメーターである
このようにあいさつが目に見えない意味をたくさん持っていることに気づくと、いろいろなことが読み取れます。

うつむきがちで声が小さい人を見れば、うまく集団との距離が取れていないということがわかります。あるいは、前日にするべき仕事の準備ができていなかったり、宿題をやっていなかったり、何か気がかりなことがあるかもしれません。あるいはどこか体調が悪いのかもしれません。

顔色、姿勢、声の調子などで、その場のリーダー的な人は、さまざまなことを評価したり読み取ったりしていることがあります。だからこそ、朝は明るいすっきりした声であいさつして始めたいものです。

そして、何か素直にあいさつの声が出ないときは、自分自身の中で何がひっかかっているかを確かめ、それを解消するように動かなければいけません。

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どうでしょう。あいさつを通じて人はずいぶん多くのことをやりとりしていると思いませんか?

礼儀というのは、よく形式的に教えられるものですが、だからといって意味のないものではありません。もともと悪いエネルギーを自分に寄せつけないためのものです。礼儀正しければ人の反感を買うこともなく、しかられることもありません。形式として軽蔑しているとその本当の意味もわからないし、人生の中で損をします。

そういうことがわかったのは僕はずいぶん歳をとってからで、若いときにその真意をうまく教えてもらったらよかったな、と思います。

あいさつ一つで、その日一日の気分が変わるかもしれません。そして、一日一日が変わっていくうちに、今までとは全然違う世界が開けてくるかもしれません。

執筆: この記事は村松恒平さんからご寄稿いただきました。

村松恒平:1954年、東京生まれ。編集者、物書き。アーティスト。新聞社勤務を経て、雑誌『宝島』の編集者として、1980年頃、『ANO・ANO』『VOW!』『愛より速く』などのベストセラーを生み出し、サブカルチャーの震源となる。
ブログ『心が大事』http://kokorogadaiji.jugem.jp/で、現代人の精神をめぐる問題や、原発事故以降の生き方について独自のアプローチを展開している。

・村松恒平書店
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