今年の漢字は「絆」に決定 えっ? 本気で応募したんですか?

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12日、日本漢字能力検定協会が全国から公募した今年の漢字が「絆」に決まったようだが、あ〜、気持ち悪いぜ。なんなのこの偽善応募者と「絆」を今年の漢字にせざるを得ない「空気」ってヤツはさぁ。

時事通信によると、

“東日本大震災をはじめ台風やタイの大洪水など災害が相次ぎ、人と人の絆の大切さが見直されたことや、サッカー女子ワールドカップ(W杯)で初優勝した「なでしこジャパン」のチームワークなどが反映された”

とのこと。今年は、広告や番組やテレビ局の企画でも「絆」やら「一緒に」「頑張ろう」「手を取り合って」などの言葉が躍ったが、大体、どれだけの人が東北の人々と本当に「絆」を作ったか。はたまた、人と人の絆の重要性を感じ、離婚危機にあった夫婦が離婚を回避するなど「絆」の重要性に気付くに至ったか? 

こういったことに自信をもって「私は絆を作りました!」と言える人が全国で数千万人単位でいるのであれば、オレだって「絆」を今年の漢字に選ぶのはやぶさかではないと考える。後で述べるが、もっと重要な漢字があるだろうよ。だが、胸に手を当てて考えて以下の質問に答えてみろ。7個以上当てはまるのであれば、「絆」をあなたは語る資格がある。

【1】東北の被災者のことを今でも考えて、何らかの行動をしていますか?

【2】福島第一原発作業員の役に立つ「何か」をしましたか?

【3】タイの洪水に対し、何らかの貢献はしましたか?

【4】実家に帰ったり、親孝行しましたか?

【5】学生時代の友人と10回以上飲みましたか?

【6】「ちょっと面倒くさい」「疲れた」程度の理由で飲み会や遊びの約束をブッチしていませんか?

【7】家族や恋人がやってくれていた「配慮」に対し、「私は感謝が足りなかった…」と心を改めましたか?

【8】電車で妊婦や高齢者に席を譲っていますか?

【9】日常的に募金をするようになりましたか?

そして、最後の質問

【10】浮気していませんか?

オレ? 2個しか当てはまらねぇよ。だからオレは「絆」なんてもんを語る資格ないよ。でも、多くの人間はそうじゃないの? で、なんでオレがこんなことを言っているかというと、今年の漢字に「絆」を投票した人々は被災者の心情をキチンと意図したのか? と問いたいからなのだ。

被災者にとって、震災直後のツイッターをはじめとした「ヤシマ作戦」やら「助け合い」やら「【拡散希望】」などは、正直「傍観者が何を悠長なことを…」と思ったのではないだろうか。

所詮、都会の人々が安全な高みから「被災者を慮る発言をするイケてるオレ」を演じて、自己満足していたに過ぎないんだよ。12日以降、被災者がネットで「絆って…」なんて意見をガンガン書くだろう。

彼らは「頑張ろうニッポン」や「食べて応援」「絆」といった、都会発の言葉をどう思っているか? そんな、「発するだけならタダ」(広告枠買ってりゃ別だが)な言葉よりも、むしろ「カネくれよ」「忘れないでくれよ、世論の支援を維持し続けてくれよ」「早く瓦礫片付けてくれよ」「寒いよ、温かくしてくれよ」「ローンを誰か払ってくれよ」「くそ、震災のせいで進学を諦めざるを得なかったよ」ということを思っているはずだぜ。

そして、時事通信は「(災害をきっかけに)人と人の絆の大切さが見直された」と分析しているが、被災者は「オレら、お前らの『絆』見直しのための捨て駒かよ…」「バカじゃねぇ? 別に、オレはお前らの絆のためにこんな辛い思いしてるんじゃねぇぞ!」と考えるぞ。

そう考えるであろうことを見越したら、それこそ配慮をし、「絆」を選ばないことがオレは正しいと思う。むしろ、「貧」「偽」(偽善)、「窮」「苦」「波」「死」「諦」などの言葉の方が2011年を表すにはふさわしいのでは。

一番の問題は、「絆」が公募によって選ばれたということで、「絆」を選ぶ配慮の足りない人が日本にこれだけいたんだ、ということですね。そして、「絆」と投稿するに至った気持ち悪過ぎる空気が蔓延したことに嫌悪感を覚えるぜ。

文/中川淳一郎(編集者)