『ビブリア古書堂の事件手帖』着想の原点とは? 三上延さんインタビュー(1)

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 新刊JPがお送りする、出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』。36回目となる今回は、現在72万部を突破し、ベストセラーとなっている『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(アスキー・メディアワークス/刊、現在2巻まで刊行)を執筆している三上延さんです。
 これまで幅広い作風で活躍されてきた三上延さんですが、今作は“ビブリオ・ミステリ”。古書店を舞台に、個性豊かな登場人物と人々の想いが詰まった古書たちが物語を織り成します。
 3回にわたってお送りするインタビュー、その第1回となる今回は、三上さんご自身と古書店のつながりや物語についてお話をうかがいました。

■本の魅力は「情報」だけじゃない

―『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズは古書店を舞台に物語が展開していきます。三上さんご自身もよく古書店に足を運ばれると第1巻の「あとがき」で書かれていらっしゃいましたが、まずは古書店と三上さんのつながりについてお話いただけますか?

三上さん(以下省略)「デビュー前に3年間ほど古書店でアルバイトをしておりまして、本格的なつながりとなるとそこですかね」

―それ以前、学生時代のときも古書店にはよく行かれていたのですか?

「そうですね、よく行きました。大学の帰りに神田神保町に寄ってお店を覗いたりしていましたね。ただ、その頃はあまり古書の価値は分からなかったですし、お金もなかったので高い本は買っていませんでした」

―古書店の魅力はどのようなところにあると思いますか?

「僕の口から説明するのは少しおこがましい部分もあるのですが、本の魅力は書かれている情報と、装丁を含む本そのものの魅力、両方あると思うんですね。古書店では、今はもう絶版となっている、骨董品のような本に出会って触れられることが魅力の1つだと思いますね」

―ほかに例えば古書店で購入した本に線がひいてあって、前の持ち主がどんな風にして読んだのか分かったり、そういった楽しみもありますよね。

「ええ、前の持ち主が購入した日付が書いてあったりしますし、面白いところに線が引いてあったり、メモが書かれていたりしますよね。『この訳は間違えている』とか(笑)」

―この『ビブリア古書堂の事件手帖』は古書店を舞台にしたミステリ小説となっていますが、この物語の着想をどのように得たのでしょうか?

「もともと古書店でのアルバイト経験があったので、いずれ古書店を題材にして小説を書いてみたいということは頭の中にありましたね。そして今回の出版のお話をいただいて、いくつかあったプロットの中からこの話に決まったというところです」

―現在、電子書籍がクローズアップされていますが、私の中で古書の立ち位置はどのようになっていくのかということが1つ引っかかっていた部分でした。そうした中で、本作が出版され、累計72万部を超えるヒットとなって多くの方に読まれているという状況を見ると、物質的な「本」に対して人々が愛着を持っているのではないか、だから古書もなくなることはないのではないかと感じる部分がありました。

「僕自身は電子書籍に対して特に反対の立場というわけではないのですが、先ほどもお話した通り、本には書かれている情報と、本そのものの価値、その両方が魅力だと思うんですね。
電子書籍の場合、情報という側面だけで見れば悪い形ではないのですが、本ってやっぱり手元に持っておきたいという欲求があるじゃないですか。また、本に囲まれるのが好きで、本屋に行くという人もいますし、実際に本というものがあることで安心する部分はあると思いますね」

第2回「主人公の2人は自分の両極端な部分から作り出している」に続く



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