新入社員は「Uターン転職男」と「養殖漁師」!? 被災ローカル線が″鉄道ダンシ″キャラを公募

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 東日本大震災の津波により大きな被害を受けた岩手県三陸鉄道(以下、三鉄)が来年度の新入社員キャラクターを募集し、ネット上で話題となっている。

 岩手県の沿岸部を走る三陸鉄道は1984年開業で、宮古と久慈を結ぶ北リアス線(71.0km)と、盛(さかり)と釜石を結ぶ南リアス線(36.6km)からなる。国鉄時代の赤字ローカル線を引き継いだ第3セクターで、過去20年近く赤字が続いているという。

 今回の震災で宮古駅の本社は被害を免れたものの、沿岸部を走る路線とあって、全線にわたって津波の被害を受けた。中でも島越(しまのこし)駅は駅舎が付近の陸橋とともに丸ごと消えてしまうという壊滅的な状況だったが、震災直後、社長自ら被害の現場を視察。震災5日後には一部区間で運転を再開させた。また、運転を再開した3月16日から31日までは運賃を無料にし、被災した地元住民の足となるため、採算を度外視した対応を行ってきた。現在は2014年4月の全線復旧に向け、全社員が一丸となって取り組んでいる。

 今回のキャラクター募集について、同社公式サイトでは「全線再開と将来に渡る弊社の発展を見据え、また、地域雇用の確保という視点から、地元出身の男性社員キャラクターを募集することとなりました」と説明。「田野畑」と「恋し浜」という名字の2名のキャラクターを募集している

 名前、勤務地、仕事内容といったベースとなる情報に加え、容姿や性格、人物背景等までこと細かに設定されており、「田野畑」青年はクールだが、心には地元への熱い思いがある人物。実家は酪農家で、高校時代は三鉄で通学していたので運転士に憧れているそう。東京の大学を卒業後、一旦就職するも震災を契機に帰郷。現在は実家を手伝いながら地域復興・活性化を考えており、三鉄に興味を持ったという設定。

 一方、「恋し浜」青年は海の男で情に厚く、面倒見がいい。大船渡市小石浜出身で実家は代々、ホタテの養殖漁師。高校卒業後、漁師になるが、地域の活性化のため仲間と駅名改称に取り組んだことをきっかけに、三鉄と関わるようになる。三鉄復興を三陸復興のシンボルと考え、その手伝いをしたいと考えているそうだ。

 今回の震災では、JR東日本が東北新幹線の復旧を急いだ反面、被災したローカル線の多くはいまだに完全復旧の目途が立っていないというのが現状だ。現行法上、三鉄の復興費用110億円のうち、国庫負担が可能なのは4分の1まで。残りの4分の1を地元自治体、2分の1を事業会社が負担しなければならず、三鉄の負担は約55億円に上る計算になる。これまで赤字経営だった三鉄にとっては、この額は致命的といっても過言ではない。そんな苦しい状況にありながらも、「当社の使命は、地域住民の皆様の生活の足となること、そして三陸沿岸地域の産業振興や地域の活性化に貢献することです。私たちは、被災地の復興のシンボルとなるよう、そして県内外から多くのお客様をお迎えして地域振興に貢献できるよう、社員一丸となって努めてまいります」と復旧に向け力強く語る三鉄を、ぜひ応援したい。

 なお、キャラクターの募集期間は12月4日〜2012年1月31日まで。2月中下旬に"内定が決定"し、"入社予定"は4月1日だという。

●三陸鉄道 公式サイト
<http://www.sanrikutetsudou.com/>



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