【うちの本棚】第九十三回 くれない頭巾/横山光輝
今回の「うちの本棚」は、横山光輝の初期作品『くれない頭巾』を取り上げます。ある意味『レッドマスク』の兄弟作品といえるかもしれません。マスクで素顔を隠して悪を狩るヒーロー的な要素と剣の道を進む人間ドラマが楽しめる、そんな作品です。

本作品は「日の丸(1959年5月号〜12月号)」に連載された、横山光輝初期作品のひとつ。デビュー当時からSFと時代ものというのが横山作品の二本柱だったことがうかがえる。またタイトルの「くれない頭巾」は、同時期に連載されていた横山の代表作のひとつ『レッドマスク』にも通じるわけだが、『レッドマスク』の人気の高さから同様な作品を要望されてのことだったのかもしれない。とはいえ同じ赤いマスクで素顔を隠してはいても本作の主人公こがらし大助は特別な能力を持っているわけではない。剣の腕は人並み以上ではあるが。

浪人ではあるが剣の腕はたち、「木の葉返し」という秘剣もあみ出した大助の師、源之助は悪人を見ると許しておけず切ってしまう。子供のころに父を辻斬りに殺されたトラウマによるもののようだが、そんな師を悪人であっても殺さないようにと大助は懇願する。そうやって切り殺さずに逃がした悪人の計略によって、源之助は酒に薬を盛られて殺されてしまう。大助は師の死後、くれないの頭巾をかぶり悪を狩る「くれない頭巾」となるのだった。もちろん悪人といえど切り捨てることはせずみね打ちするというスタイルに町人たちは賛辞を贈る。

くれない頭巾の正体が知られてしまいそうになったり、大助を上回る剣の使い手が現れたりと、ストーリーは読者を飽きさせることなく進んでいく。また悪人とくれない頭巾の戦いばかりではなく、師のあみ出した「木の葉返し」を会得しようとする剣術家としての大助も描かれる。

作品自体は非常に面白いのだがなぜかこの作品も連載後すぐに単行本化されることなく埋もれてしまっていた。もっとも条件が揃えばさらに長い作品になったものをきりのいいところで終了したという印象もあり、横山の中で未刊の作品というのがあったのかもしれない。

書 名/くれない頭巾
著者名/横山光輝
出版元/小学館/小学館クリエイティブ
判 型/A5判
定 価/1800円
シリーズ名/復刻名作漫画シリーズ(本書自体には記載がない)
初版発行日/2009年9月14日
収録作品/くれない頭巾

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

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