マクラーレン・ホンダ復活!? ドイツの老舗モータースポーツ誌『Auto Motor und Sport』が11月18日、ホンダが2014年からF1の名門チーム、マクラーレンにエンジンを供給する可能性があると報じた。

 マクラーレン・ホンダといえば、プロストやセナといったドライバーを擁(よう)し、数々のタイトルを獲得。ターボエンジン全盛のF1において、圧倒的なパワーでチームを勝利に導き、「HONDA」の名を世界に知らしめたホンダF1の第2期(1983年から92年)だ。

 そんなかつての“最強タッグ”復活が、なぜ今伝えられたのか?

「マクラーレンは現在、メルセデス・ベンツのエンジンを積んでいます。ところが、その契約が今季限りで更新され、無償だったエンジン代金を13年以降は支払う必要がある。さらに自前のチームを持つメルセデスがスポンサーから外れ、金銭面で苦しくなるのです」(F1ライター・米家峰起氏)

「今後、マクラーレンはエンジン価格を含めてメルセデスとシビアな交渉をする必要がある。ところが、現状メルセデス以外の有力なエンジンのあてはない。そこで白羽の矢を立てたのがホンダ。14年からエンジン規定がV6ターボに変わることが濃厚なため、ターボエンジンで一時代を築いたホンダという選択肢をアピールして交渉の材料にしようと、マクラーレン側が意図的にドイツ誌に情報をリークした可能性はあります」(ライター・川喜田研氏)

 では、一方のホンダはどうか?

「エンジンの試作品を作るなどの具体的な動きはないが、F1復帰の噂はある。08年のF1撤退後のホンダがブランドイメージの核になる要素を欠いているのは事実で、CR−Zを除けば、市販車のラインアップはスポーティで個性的なホンダらしさをアピールできるものがない。皮肉な話ですが、『やはりF1しかない……』という声が社内でも大きくなっているようです。また、14年以降のF1はターボ導入だけでなく、パワーアップしたKERS(カーズ/電気エネルギーを回生して馬力を一時的に増やす装置)も搭載されるでしょう。この規定なら、エコ技術を鍛えるという大義名分にはなる」(モータージャーナリスト・A氏)

 エコといえば、ライバルのトヨタは09年のF1撤退後、来年からハイブリッドカーでル・マン24時間レースへの参戦を決め、ひと足先に国際モータースポーツの舞台に戻ってくる。ホンダにとってブランドイメージの再構築が喫緊(きっきん)の課題ならば、F1復帰しか残されていないのかも……。

 しかし万が一、マクラーレン・ホンダが実現したとしても、今のホンダに勝算はあるのか?

「14年に参戦するなら、もう動きださなければ間に合わない。フェラーリはすでにV6ターボの開発をスタートさせ、来年にはエンジンのテストをすると言っている。加えて気になるのは最近のホンダのモータースポーツのダメっぷりでしょう。第3期(2000年から08年)のホンダF1はいいところがなかったし、お膝元のフォーミュラ・ニッポンは今季1勝もできずトヨタに完敗。もし、中途半端に14年からスタートさせるなら第3期のような結果になるのは目に見えている」(前出・A氏)

 こうなると、過去のモータースポーツで築き上げた遺産をすべて失ってしまうことにもなりかねない。そもそもF1撤退時にチームを無責任に放り出したわけだから、再び参戦する資格があるのかも疑問だが……。

 最後に、F1への復帰を検討しているのかをホンダに聞くと、「現在、F1へエンジンを供給する計画はありません」(広報部)。

 過去の栄光にすがり、マクラーレン・ホンダの名を汚すような結末にならないことを祈る。

【関連記事】
2013年以降、「F1日本グランプリ」が消滅する可能性
インディジャパンが今年で最後!もてぎのオーバルは歴史遺産に?
F1日本グランプリ直前 小林可夢偉「日本でインパクトのある結果を必ず残す」
24年ぶりに東京に凱旋。「東京モーターショー」の目玉はクルマにあらず
ゴールは“月”。賞金総額28億円の宇宙開発レースが開催中