先月24日から病気のため入院している福島第一原発の吉田昌郎前所長(56歳)。3月の事故以来、働きづめとなれば体調を崩して当然ともいえるが、一方で放射線被爆との関連も危惧された。

 だが2日、枝野経産相は、「病気と放射線被爆との因果関係は考えにくい」と専門家から報告を受けたことを発表した。

 どちらにしろ、早期の回復を祈るばかりだが、万が一、我々一般市民が被爆が原因と思われる病気を発症した場合、どう対処すべきなのか。その因果関係を独力で立証するのは至難の業(わざ)だ。その対抗手段を、某学者が明かしてくれた。

「歯ですよ。歯が1本でもあれば、その人の積算被曝線量を今からでも測ることができるんです。事故発生後、原発直近で高線量を浴びた可能性のある人なら、歯を調べればどれだけ被曝したかがわかります」

 歯のエナメル質にできたラジカル(不対電子)をESR(電子スピン共鳴)装置で検出・測定すれば、被曝線量がわかるのだという。これにより、臓器の推定被曝線量評価まで可能。ラジカルの安定性は人の寿命より長いため、原発事故による外部被曝線量はおろか、広島や長崎での原爆被爆であっても測定できる。

 もし、福島第一原発近隣にお住まいだった方々で、高汚染地帯からの避難が遅れるなどで高線量を浴びたと思われる人は、抜いた歯を捨てずに保存しておいてほしい。もちろん、フクシマ事故の収束作業に関わった方にもお勧めしたい。

 長い人生のうち、歯を抜くことになる機会はいくつかある。たとえば「親知らず」であったり、子どもであれば「乳歯」だろう。

 虫歯ではない健常な歯が理想である。測定では歯の「エナメル質」が重要になるからだ。虫歯であっても、健常な部分が半分以上残っていれば、測定は可能である。たとえ亡くなった人であっても、荼毘(だび)に付す前の歯であれば測定できる。

 保存方法は至って簡単。紙の袋か、ビニール袋に入れておくだけでいい。ただし、プラスチックの容器に入れておくのは避けること。通常のプラスチックには、測定の際に支障となる成分が含まれているためだ。

 残念なことにこうした「測定」作業は、フクシマ事故ではまだどの研究機関も着手していない。早急な実施が望まれる。

(取材・文/明石昇二郎とルポルタージュ研究所)

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