誰でも一度くらい、ゴルゴ13という名前を聞いたことがあるだろう。国籍本名年齢など一切不明の超一流スナイパーのコードネームだ。

このゴルゴ氏だが、外見からすると、日本と何らかの関係がありそうだ。実際、たびたび日本を舞台に活躍しているらしい。となると、超一流の彼からも、なんとかして税金を取りたいものだ。個人情報一切不明のゴルゴ13から、税金を徴収することは可能だろうか。

所得税も社会保険料も払わない「美味しい仕事」

ゴルゴは一件当たり数千万〜数億円で仕事を引き受け、報酬はスイスの銀行口座に振り込まれることになっているという。もちろん、どこの国に対しても所得税は1円も払ってないし、日本で稼いだ金であっても源泉徴収はされていない。

「人殺して1億円稼ぎました」

なんてことは公には出来ないから、仕事の受注、納品、支払いまで含めて、一連のプロセスはすべて水面下で行われるのだ。

では、相続税はどうだろう?ゴルゴの家族構成は今でも一切不明だが、一つだけ確実なことは、恐らく彼には親しい親族はいないという点だ。

死亡直前になって誰かに贈与したり相続したりというシチュエーションは、ちょっと思いつかない。全部使い切るか、文字通り墓場まで持っていくのではないか。当たり前だが住所もないわけだから、年金や医療といった社会保険料も1円も払っていないだろう。

というわけで、ゴルゴ自身は年収数億円はあると思われるけれども、経費を除けば、それはそっくりそのまま彼の可処分所得となっているはず。

年収800万円のサラリーマンが、所得税と住民税と社会保険料もろもろで200マン近く負担していることを考えると、ゴルゴが何十年もこの仕事を続けている理由が良く分かるだろう。単純に美味しい仕事なのだ。

消費税ならライフルからも取れる

ただし、そんなゴルゴからも税金を徴収する唯一の方法がある。消費に対して課税する消費税だ。ホテルに泊まろうが外食しようがコンビニで買い物しようが鉄砲の弾を買おうが、そのたびに彼は消費税を払うハメになる。

「100発中80発を試し撃ちしてから残り20発を使う」ほどのこだわりのある男だ。衣食住すべてにおいて、納める消費税はそれなりの額になるだろう。

ついでに言えば、爆弾や改造ライフルといった闇物資を購入する場合にも、仕入れ段階で消費税が発生し、ゴルゴへの販売価格に転嫁されているはずだから、やっぱりゴルゴは負担することになる。すべての仕事を水面下でこなすゴルゴでも、消費する時だけは水面に浮上せざるを得ないのだ。

ゴルゴ程ではないにしても、世の中にはゴルゴ的な人はいくらでもいる。つい最近も、オリンパスというグローバル企業から、闇社会の人たちが2千億円もの大金を吸い上げていたのではないか、という疑惑が浮上したばかり。仮にそうだとすれば、水面下のお金だから税金なんて払っちゃいないはず。

そういった闇社会の人たちの多くは、厚生年金や国民年金も払っていないと思われる。国民健康保険すら払っていない可能性が高い。

そうやってアナーキーな生活をエンジョイした後で裏仕事にあぶれると、最後のセーフティネットである生活保護にのこのこやって来るわけだ。1円の負担もしないままで。

正直者が馬鹿を見る国であり続けるのか

さて、現在、消費税引き上げを巡る論議が盛り上がっているが、実際引き上げられるかどうかはまだまだ予断を許さない。

じゃあ国民負担は増えなくてすむのかというとそんなことはなくて、厚生年金保険料は2004年から毎年0.354%ずつ18.3%まで、トータルで4.3%以上も引き上げられている真っ最中だし、この上さらに掛け金の上限を引き上げるというプランも進行中だ。もちろん、それらを負担するのはサラリーマンである。

保険料の4.3%アップや掛け金が2倍になることはスルーするのに、ちょこっと消費税引き上げすると言われただけで青筋立てて反対する政治家たちは、きっとゴルゴが怖いのだろう。

「ふざけるな!負担増なら公平な消費税だろ!」

とサラリーマン自身が言わないかぎり、日本はこれからも悪い奴ほどよく笑い、正直者が馬鹿を見る国であり続けるだろう。

城 繁幸