書籍を自分でデジタル化してしまう「自炊」。この行為が是か非かといった議論が、多方面で聞こえてくるようになりました。

 自炊とは、裁断機を使って紙の書籍・雑誌の背表紙を切り落としてバラバラにした後、ドキュメントスキャナ(文章を連続で読み込めるスキャナ)で裁断したページを読み取り、データをPDF化するものです。書籍データは、iPad日本語版やアマゾンのKindleなどの電子ブックリーダーで楽しむことができます。最近では、個人でも扱いやすいスキャナが流通するようになり、『電子ブック自炊完全マニュアル』といった専門書の発売など、随分と身近なものになってきました。

 個人がみずから利用するために本を複製する行為は「私的複製」。弁護士の福井健策氏は書籍『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』のなかで、私的複製は、「現行の著作権ができた時から規定があって、ずっと適法」といいます。

 しかし、書籍を裁断してスキャニング、デジタルデータ化する「スキャン代行業者」が、2010年ごろから爆発的に増加し、話題となっています。自炊代行という「業態」は、複製権を侵害する行為であり、著作権法第30条1項の「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合」に該当する、といった声もあります。

 それでは、スキャン代行業者に外注した場合、法律的な違反になるのは、依頼をした方でしょうか。それとも依頼を受けた方?

 この問題について、福井氏は答え方が難しいとしつつも、今のサービスの形態を変えない限り、違反の可能性が高いといいます。「依頼したユーザーについては、純法律的にいえば、私的複製に当たらない複製作業を他人に依頼したわけなので、状況によっては著作権侵害の責任を問われる可能性があります。ですから『罰せられることはない』と言い切ると嘘をついたことになってしまう。『理論的には罪に問われることもありえる』という表現にとどめておきたい」(福井氏)

 いわゆる現代的な問題といえる「自炊」行為ですが、今後の展開について注意深く確認していく必要があると言えるでしょう。



『書籍を自分でデジタル化「自炊」行為は是か非か?』
 著者:
 出版社:阪急コミュニケーションズ
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