「草食系男子」なんて元々いない 単に男が学習しただけだぞ

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「草食系」という言葉がここ数年間蔓延して気持ち悪かったが、最近少しはおさまってきて心地よい時代に向かいつつあるものだ。メディアや企業やマーケッターは何かと流行りの言葉を使い、自分達の企画の「前置き」として利用する。

「草食系男子の多い昨今、婚活に熱心な肉食系女性との対比が出ています……そんな草食系男子を後押しすべく……」――みたいな企画っていかにもありそうだな。だが、オレは断言する。「草食系男子」なんてもんは元々いねぇよ! その前に、草食系の定義をしておこう。多分、以下のようなものだろう。

「女にあまり興味ない」「彼女をあまり作ろうとしない」「女に対し、ガツガツしていない」

それで、実際に「ガツガツした男が減った」ことを示すデータとして、「恋人のいる若者が減った」などが紹介され、「草食化のあらわれです!」と鬼の首を取ったかのようにメディアは語り、「少子化に繋がるゆゆしき事態である、コホン」とオッサン識者が眉間に皺を寄せる。

分かった。「ガツガツした男」は実際に減少したとしよう。だが、そうであるとすれば、それは「草食化」が理由ではない。

男が学習したのである。

男が何を学習したかというと、「女と一発やると面倒くさい」ことに気付いたのである。一回でも性行為をしてしまうと、「あんた、どうしてくれるのよ!」「セクハラ委員会に訴えるわよ!」「あんた、私のこと『好き』って言ったじゃない! 責任取れ!」みたいに女は鬼の首を取ったかのように攻めてくるが、大抵の場合、男は「ご、ごめん、オレ、あの時ヤりたくて仕方無かったんだよ……」「いや、お前が胸の谷間見せてたから興奮しちゃって、つい……」という程度の気持ちでしかない。

【男はいまだに性欲ムンムンだぞ】

こうした連中により、渋谷のラブホテルは金曜日の夜にでもなれば満室続出で、土曜日の朝には「やっちまったなー……」という男が続々とホテルから出てくる。デリヘルもウッハウハに儲かっているらしいし、エロ動画の視聴回数もハンパない。つまり、男は今でも性欲の塊なのである。

そもそも、性欲に対する意識が男と女は明確に違う。男は「多少の好みの相手であれば、性行為をできてしまう」のに対し、女は「ある程度相手との間に心の繋がりを求める」という違いがある。かつて、セクハラ委員会もなく、企業のコンプライアンスもさほど重視されず、男尊女卑の雰囲気が強かった時代、女性は武器がなく「泣き寝入り」をするしかないケースも多かったと予想できる。男も「うるせーよ! 合意の上だろ!」と強く出られたのだろう。

【男は「草食系」なのではなく「冷静さ」と「理性」を手に入れたのである】

女性が相対的に強くなってきたことに加え、ネットなどで「美人局」の事件を見聞きしたり、ネット上にH写真を流出された例を見たり、某広告代理店社員2名が「(Hな)セレブの飲み会」で実名報道され懲戒解雇される様などを見て、さらにはこれら事件を題材に「人生オワタ」みたいな議論をネット上でするわけだから恐怖は増幅するわな。

「若い男は告白し、断られることによって傷つきたくない。だから草食化する」ということもまさに慣用句のように語られるが、こんなデリケートなことじゃないよ。「うわっ、やべー、ヒロコのヤツ、うわっ、いい女……、やべー」なんて安い居酒屋チェーンで思い、窓の外にはラブホテルのネオンがギラギラ。

これはもう行くしかないか! と手取り15万2000円の新入社員・義男(24)は悩むのだが、「あいつ、一度でも性交したらそれを盾に毎晩電話かけてきたりするのもうぜーよな。それより家に帰って無料エロ動画でティッシュタイムするか……。居酒屋代払ったらラブホ代もねーしな……」と義男は妙に冷静になるのであった。

もはや「誰誰とヤった」などと自慢することが武勇伝ではなく、セクハラや名誉棄損として訴えられる時代、男は自らの身と人生を守るべく「草食系」の皮をかぶり、その熱き下半身のたぎりを自宅にてエロ動画を使って抑える「理性」をただ手に入れただけなのである。

文/中川淳一郎(ビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタント)