中国の経済発展を支える驚異的な“モノマネ”

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 「山寨(さんさい)」をご存知だろうか。
 中国語の意味では、山中の砦、周りを土塀や柵で囲った山村という意味だが、最近では「コピー、偽物」といった意味で使われることが多い。この「山塞」という言葉が広まったきっかけとなったのが携帯電話だった。
 『中国モノマネ工場』(阿甘/著、生島大嗣/監修、徐航明、永井麻生子/翻訳、日経BP社/刊)では、この「山塞携帯」や山塞商品がどのような経緯を辿り作られ、社会現象となるまでどう広がっていったのかが紹介されている。

 山塞携帯が生産される深圳では、近くに大きな携帯電話の部品市場があり、電子部品が手に入れやすい。加えて、数千の携帯電話のデザイン会社もあり、多くの工場も集まっている。深圳は、携帯電話を作るすべての工程がほぼ揃った状態にあるのだ。
 このような特徴的な地域から、低価格・高性能の山塞携帯が作られ、タイやベトナムなどのローエンド市場で業績を伸ばし、中国全土へ広がっていった。
 そして、この山塞携帯の生産量はみるみるうちに増え、年間の売上が1000億元を超え、数十万のユーザーを持つに至った。その広まり方は「山塞」という言葉が2008年に最も流行った言葉になるほどだったという。

 本書の著者である阿甘氏は、経済、金融、IT分野で活躍する気鋭の中国人ジャーナリストだ。そんな阿甘氏が切り込むモノマネ・イノベーションの実態とは?
 山塞携帯が成功を収めた後、デジタルカメラ、薄型テレビ、山塞ノートPCなど他の業界にも進出しており、山塞商品は正規の企業を脅かすほどだ。
 コピー大国と言われる中国だが、本書の帯にある『一時の「模倣」はコピー、普遍の「模倣」は革命』というキャッチコピーを実現化してしまうのか。中国経済の発展の底で起きていることが本書から読み取れるだろう。
(新刊JP編集部)



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