今年を振り返るうえで避けては通れない、東日本大震災。震災直後の混乱は日本各地で起こっていました。節電のため、暗くなった街、東京の風景を覚えている人も多いでしょう。

 12月10日から公開の映画『トーキョー・ドリフター』は、ネオンが消えた2011年5月の東京を描いたドキュメンタリー作品。監督は『童貞。をプロデュース』などで"ゼロ年代のニッポン"を映し続けてきた松江哲明氏です。自身の最新刊『映像作家サバイバル入門』では、この作品を撮るにいたった経緯が書かれています。震災時、韓国にいた氏は日本に戻ってきて、東京が「十分不穏で、ピリピリしていた」ことを感じとり、ドキュメンタリストとして福島へ行くのではなく、「僕は『ここ』を見つめることでしか『これから』につなげられない」と感じたそうです。氏は「東京も被災地だ」と言います。

 ミュージシャンの前野健太を映画の中心に置き、暗い夜の新宿、渋谷を映し出します。歌い、叫び、さすらっていく漂流者...。そこにはユーモアとペーソスが刻まれています。

 映像ディレクター・大根仁氏が本作に寄せるメッセージには、映画『モテキ』を震災後の東京で撮りはじめたとき、街灯の消えた東京にリアルを感じられず、なるべく明るいロケ場所を探したエピソードがつづられています。「今の、この景色こそがこれから始まる『暗い地獄』の入り口であり、あともう一方で『あれ? 夜が暗いって当たり前のことじゃん』と気づいた」と同氏。ほどなくして、311以降の夜の街をしっかり記録しようと気持ちが変化したことを振り返り、『トーキョードリフター』と『モテキ』の共通点を挙げています。

 公開初日の12月10日(土)には渋谷のユーロスペースにて、松江監督と前野健太氏が登壇する舞台挨拶が行われる予定。この作品で"あの頃"の気持ちがよみがえると同時に、勇気を手にする人も多いのではないでしょうか。



『「被災地・東京」を描いた映画『トーキョードリフター』と『モテキ』の共通点は?』
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 出版社:フィルムアート社
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