なぜかオネエ言葉を使うロック・カフェ「SMOKE」のマスター。彼のところには悩める就活生が続々と。その理由は?(c)高田真弓

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 12月1日、例年より2ヵ月遅れで就職活動が始まった。2013年春に大学を卒業する学生たちの採用エントリーが解禁、それに伴い大手就活ナビサイトがオープンするほか、企業による採用説明会なども始まった。2ヶ月遅くなった理由は、年々加熱する就活が学業に影響を与えるという声に応え、経団連が各企業に要望を出したことによるものだ。

 この日程変更により、「学生が勉学に集中できるようになり良かった」「企業も採用にかける時間が少なくて済む」など好意的な意見があがる一方で、「間違いなく大混乱になる」と断言する人がいる。それが“就活の神さま”ジミーさんだ。

 ジミーさん……? 実は彼、人材コンサルタント・常見陽平氏による小説『就活の神さま』(WAVE出版)の登場人物である、元大手広告代理店のカリスマ採用担当者なのだ。非モテ・非リア充の大学生が何度も失敗を重ねながら就活戦線を乗り切っていく姿を描いたこの小説。その主人公に、厳しいながらも愛があるアドバイスを届けるのがジミーさん。いわば、就活のプロである筆者のもうひとつの顔というわけだ。

 では、正体が分かったところで、ジミーさんに解説してもらおう。

「スタートが遅くなったせいで、学生たちに焦りが感じられないのよ。就活への理解度でいえば、まだ去年の8月並みといってもいいくらい。でも、選考は短期決戦になりそう……。実際、積極的な学生はとっくにOB・OG訪問を始めている。これから動き出す層とは差がついているわね」(注:ジミーさんはオネエ言葉を使います)

 スタートが遅くなった分、学生たちに悪い意味での「余裕」が生まれているというのだ。しかも、採用する側の「厳選採用」はより明確になりつつある。

「企業がグローバル人材や理系スペシャリストなどの採用枠を増やしたことで、全体の求人数自体は増えた。だけど、これは有能な学生のみを募集する枠であって、普通の学生が救われる枠ではないのよ。企業のホンネは『優秀な学生ならいくらでも欲しい。普通の学生は別に……』ってこと」

 では、学生たちは今年の就活をどのように乗り切るべきなのか。手当たり次第に何十社もエントリーする学生がいるなか、ジミーさんは「数より質」を重視すべきだという。

「いままで学生は人気企業ランキングの上位から片っ端に受けていたけれど、それって少ない椅子を大人数で取り合っているだけ。有名企業ばかり受けて『100社受けても内定ゼロでした』と泣きつかれてもね……。しかも、よく調べもしないでエントリーしたら、面接の時点で化けの皮がはがれるのがオチ。目安は“1週間に3社エントリー”ね。このぐらいの数なら、企業分析をしっかりしつつ、いろんな業種を受けることができる。要はエントリーの量と質を無理なく両立することが大切なのよ」

 ちなみに、毎年多くの学生が詰めかける合同企業説明会は「行くだけムダ」とのこと。今年は例年より就活期間が短いため、早めに志望先を絞った学生が有利となる、これがジミーさんのアドバイスだ。

(取材/小山田裕哉)

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