デフレや円高の影響か、深夜のコンビニや工場で働く外国人労働者の数は増加する一方だ。また大企業においても、楽天やファーストリテイリング(ユニクロ)のように、英語を社内公用語に採用する方針を打ち出す企業も出てきた。

 止まらない日本の労働市場のグローバル化。ワークス研究所の戸田淳仁氏は、20代の若い世代への影響を懸念する。

「昨年頃からグローバル化を意識して、海外の大学や大学院を卒業する外国人を日本企業が採用する動きが見られ、これが加速していくかもしれません。企業の立場からすると、外国の若者を採用するという選択肢が現実的なものになったのです。その結果、日本の若者と外国の若者との間で席の奪い合いが起こる可能性も出てくると思います」

 MyNewsJapan代表取締役でジャーナリストの渡邉正裕氏は、日本人であるメリットがなく、特段の付加価値の高いスキルも必要とされない職業群を「重力の世界」と呼んでいる。この「世界」で、席の奪い合いは発生する。

「日本には356万人の販売店員がいます。ショップで待ちの接客をする店員、例えば普通のブランドショップの店員ならば、客はブランド品を目当てに買いに来るので、店員は最低限の訓練を受けていれば国籍を問わず誰でもいい。都内のコンビニの店員でも中国人が明らかに増えています。もちろん実際には、いわゆるカリスマ店員のように、日本人の好みを深く理解し、コミュニケーション力に長(た)け、固定客がついている人もいますが、少数派でしょう。こうした仕事はグローバル化の影響をもろに受け、外国人に取って代わられたり、賃金がいまの日本の最低賃金よりもさらに低い“グローバルの最低賃金”に、重力の法則に従うかのように下がっていきます」(渡邉氏)

 では、何のスキルも持たない日本人労働者は、この重力に逆らえないのだろうか。英語力がこれからのビジネスには必須のようにも思えてくるが、前出の渡邉氏は「英語で世界を相手にビジネスをしなければ生き残れないというのは、英会話学校やビジネススクールの営業トークにすぎません」と一蹴する。日本人であることのメリット=「ジャパンプレミアム」を活かした職業も多く存在するからだ。

「日本に生まれ育ったこと自体がスキルであり武器になる分野もたくさんあります。それが日本人メリットです。例えば超優秀な外国人が3年で日本語をマスターし、住宅メーカーの営業マンになったとして、日本で活躍できるでしょうか。顧客は同じカルチャーを共有する日本人の担当者を選ぶと思いませんか」(渡邉氏)

 日本人には、高いサービス精神や職人気質、チームワークを重んじる心がある。これらを活かして、単価の高い商品を扱う営業や管理業、または日本の独自カルチャーに関連した職業ならば、日本人であることが最大のメリットになる。

 グローバル化に対応し生き残るためには、何も「外」に適応する必要はない。「ジャパンプレミアム」を磨くという方法もあるのだ。

(取材/梶野佐智子)

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