「大阪都知事選」は案の定、維新連合が勝ちました。松井さんはダメで、橋下さんは……と勝手に思っていたのですが、東京で見ているより、大阪にはそれだけ危機感があると言うことでしょうか。それにしても、あの東京発信の雑誌のネガティブキャンペーンは恥ずかしいものでしたね。それが大阪人の反骨精神に火を付けたように思うのですが……。

 前振りはそんなところで、昨日のシリア戦は面白かったですね。大津のゴールでの勝利はともかく、シリアのうまさと強さが新鮮だったからです。試合後、日本を代表する屈指のFWである釜本邦茂さんと話をしましたが、あのシリアの10番アルスマを褒めていました。Jリーグでどうですかと、水を向けると十分に通用するだろうと。

 そこで、提案です。どこかのチームで彼を買って頂けないでしょうか。

 アルスマ選手はシリアにとっては数少ない海外でやっている選手ですし、それもクウェートのアルカディシア(AL QADSIA)ですから、お金もそこそこもらっているように思いますが、まだ、21歳ですから日本で鍛えて、欧州へということにしたらどうでしょうか。全権利を買い取っておけば、次段階でクラブは損をしないですから。とにかく、あのフィジカルに日本の技術を教え込んだら結構な選手になるのは間違いありません。もちろん、本人がどれだけ努力するかという大きな問題はありますが。なにしろ、戒律の厳しいイスラム教徒ですから、酒も自由で、女性も積極的という国に来たらどうなるか、少々心配ですが、そこは宗教的な指導者にもアドバイザーになって頂いて、彼らのあり方を尊重していけば何とかなるでしょう。そこで、ダメになるのは、日本人選手でも同じですから。とにかく、彼のような選手を日本に呼んで、先鞭をつけるといろいろ可能性が広がります。

 彼のような選手が日本に来て活躍するとAFCチャンピオンズリーグももっと盛り上がる可能性が出てきます。AFCの不人気は問題ですが、日本をアウェーとする国からも積極的に応援に来てもらうには、その国の選手が日本側にもいるというのはいいアピールになると思います。サポーターのモチベーションが数段高くなるのは、間違いありませんし、少なくとも放映権は高く売れるようになります。

 今のように韓国だけでなく、アルスマほどの中国や中東、中央アジアの人気選手も呼び込み、さらにタイやマレーシア、香港などの選手もJ1だけでなく、J2でもやらせたら、Jリーグのアジアでの人気が上がります。そうなるとJの放映権も売れるようになります。
 現在、韓国を筆頭に、中国や東南アジアでは、プレミアリーグが大人気です。プレミアサイドもそのことを理解していますから、オフシーズンには無理してでもツアーに来ます。また、テレビ放映時には広告にハングル、中国語、タイ語などが出てきます。

 この例を見るまでもなく、日本企業はアジアで韓国に遅れを取っていますが、Jリーグを人気コンテンツに変えたら、日本企業も元気になります。ことにTPPやFTAが現実になりそうなときに、そうした輸出商品とは思いにくい、文化的商品も売っておかないとたちまち輸入過剰になってしまい、産業は衰退しかねないのです。それに、この話が単なる夢ではないのは、香港のサッカートトでは、プレミアだけでなく、Jリーグも賭けの対象になっていますから、そこにアジアの身近な人気選手を入れれば、火がつく可能性は高いのです。いい例は中田英寿です。香港では、引退後でも中田の動向はチェックされ、香港のモデルとの一夜は各紙が報じていました。スポーツ欄に海外の人気選手と一緒にJの人気の選手の動向も載るようになると、中国だけでなく、中国系の多い東南アジアの広大なマーケットへも違った形で参入できるでしょう。

 クールジャパンとしてアニメやファッションなど売り込んでいますが、サッカーもそのコンテンツにするために、まずはアジアの選手を呼び込むことが大事なことなのです。いかかでしょうか。

【刈部謙一】