開発途上国に生きる子どもたちの“現実”

写真拡大

 現在の世界の人口は約70億人。その中で私たちのように豊かな暮らしができている国は、日本、アメリカをはじめ、世界人口のうちの20%に過ぎない。残りの80%の人々は発展途上国に暮らしている。

 『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』(池間哲郎/著、「元気が出る本」出版部/編集、現代書林/刊)の著者である池間哲郎さんは、20年にわたり途上国の子どもたちや弱者を支援している。カンボジア、ミャンマー、モンゴルなどの各国で、学校をつくり、井戸を掘り、孤児院や職業訓練センターなどの各種施設を建設、運営してきた。
 本書は、個人の活動の10年、NPO法人アジアチャイルドサポートという団体としての10年で培ってきた池間さんの記録や思いをまとめたものだ。

 フィリピンの首都マニラ、高層ビルが建ち並ぶ中心街を取り囲むように、いくつかのスラム街が点在する。その中でもっとも大きいスラム街であるトンド地区には、「スモーキーマウンテン」というゴミ捨て場がある。ダンプカーで捨てられたゴミは、30メートルもの山になり、ゴミが有害なガスを出す。静電気がおこって自然発火し、あちこちで1日中煙があがっていることからスモーキーマウンテンと呼ばれている。
 池間さんがここを訪れた当時、3万人近くの人々がこのゴミ捨て場に暮らし、子どもたちが毎日ゴミをあさり、プラスティックの瓶やビニール袋、アルミ缶などを拾い、リサイクル業者に売って暮らしていたのだ。
 メタンガスやダイオキシンなど有毒物質が含まれる煙、極度に不衛生な環境、ブルドーザーやトラックにひかれてしまう事故で、ゴミ捨て場の子どもたちのうち、15歳まで生きるのは3人に1人だと言われている。そこで出会った少女の夢は「大人になるまで生きること」だった。このような状況を目の当たりにした池間さんは、ここでの出会いが人生の転機となる。生涯、子どもたちを支える運動を本気でやっていこうと決意するのだった。

 本書では、池間さんが現地で見て感じた状況やカンボジアに学校を建設したときなどのボランティアの様子を読むことができる。
 開発途上国や貧しい国の現状は、日本にいる限りではなかなか実感できるものではない。しかし、自分に何かできることはないか考えてみること、そして、それを見つけて実際に動くことが大事なのではないだろうか。そのためのヒントを与えてくれる一冊だ。
(新刊JP編集部)



【関連記事】 元記事はこちら
元109ショップ店員が見た“アフリカの貧困”
あなたにとって「大事なもの」とは何ですか?
ボランティアに依存する被災者との向き合い方とは?
こんな新婚旅行もアリ? 新婚旅行で世界放浪