「クロサワ映画」。このタイトルを耳にすると、世界的に有名な日本の巨匠の作品を思い浮かべる人が多いかもしれません。いやいや、こちらの「クロサワ映画」は、体を張って日本全国に笑いを届ける女芸人トリオ、森三中の黒沢かずこ主演作品です。

 黒沢かずこ、椿鬼奴、光浦靖子、大久保佳代子がそれぞれ自身の役を演じて、第2回沖縄国際映画祭でグランプリと審査員特別賞の2冠に輝いた、2010年公開作「クロサワ映画」。主演女優はそのままに、全く新たに作られたのが、今回紹介する「クロサワ映画2011 〜笑いにできない恋がある〜」です。


 12月23日、街がカップルであふれるクリスマス・イブを前に、黒沢、鬼奴、光浦、大久保の4人は、行きつけのバーで、クリスマスの存在を恨んで憂さ晴らしをしていました。その後、大久保と居酒屋へ行った黒沢は、韓国から来たパク・ソンドル(コン・テユ)とペ・ウンソン(イ・テガン)と出会います。大久保は女子アナだと嘘をつき、ペと親しくなりますが、奥手な黒沢はパクとメールアドレスの交換もできないまま帰ることに。


 翌日の24日は、早朝から番組収録で韓国行きとなった黒沢。芸人にはクリスマス・イブなんて関係ナシ。でも、結婚している相方2人は、幸せなプライベートの予定を優先。黒沢は孤独に仕事をこなすしかありません。ところが、韓国で黒沢を待っていたのは、ロケ先でのパクとの運命の再会でした。

 4人の切ない恋の物語は、女芸人じゃなくても、仕事を持つ女性なら誰もが共感できるところが多く、見応えがありました。もちろん笑いも盛りだくさんです!

 実は、私は以前から黒沢さんの大ファン。本作の取材で彼女にインタビューできることになり、もうワクワクでした! 場所は新宿の吉本興業。元は小学校だったところで、校舎や校庭など、取材場所としてはとてもユニーク。


——黒沢さんのお名前がタイトルになった映画2作目ですが、主演女優として何か特別な待遇はありましたか?

 「ちょっと出番を多くしてもらったのと、男性とからむシーンが増えたことですかね。この映画に出たことで異性とも話せるようになったので、それはラッキーだなと思います(笑)」

——現場で特別扱いされたりとかは?

 「全くないです。マネージャーも、1回も現場に来たことないんですよ。撮影場所に行くのも、全部自分で調べて行くんです。吉本興業、さすがです」

——今回の相手役は韓国人の俳優さんでしたが、日本人男性よりも親切だったりしましたか?

 「コン・テユさんは、ずっと日本で暮らしているから、日本語もペラペラで……。でも、やっぱりすごく気を使ってくれる方ですね。あっ、大久保さんの相手役のイ・テガンさんは韓国から来た方なんですけど、大久保さんが『肩が痛い』って言ったら、マッサージしてあげてましたね。大久保さん、勘違いしちゃうよって思いました(笑)。優しい方たちでした」

——この映画の役は、黒沢さんご本人ということになっていますが、実際に性格など近い設定なんですか?

 「(好きな男性に対して)私は自分からは行けないんですけど、この役はちょっと積極的な時もあるんですよ。だから、スゲーな、コイツって思います(笑)。恋をして、大きな決断を迫られる場面が出てくるんですが、実際に私はそんなことに直面したことがないんで……。でも、オアシズ(光浦&大久保)とか鬼奴がいるんで、いまだに恋の決断をしていないけど、気持ちが楽なんです。このメンバーといると、ほんと気が楽なんですよ」

——映画の中みたいに、彼女たちには何でも打ち明けられるんですか?

 「そうですね、聞いてもらってます。8歳くらい年上なので、いろいろ教えてもらったりもしてますね。映画の中の関係と、すごく近いです」


——今回は、よりラブストーリーの要素が強くなっていますが、ヒロインを演じてみた感想は?

 「こんなに出会いに積極的になれるかしら、と考えてみたり、演じながら恋を勉強させてもらったという感じです。こういうふうに男子と触れ合った方がいいのね、とか(笑)」

——本作では相手がすごく積極的ですが、実際もそのほうがいいですか?

 「そうですね。でもやっぱり人によるかな。コン・テユさんはシュッとしてるからいいけど、アンガールズさんとかだったら、ちょっと、あぁ……とか思っちゃいますね。逃げちゃうかもしれないです(笑)」

——「クロサワ映画」は、「男はつらいよ」の女性版のように、今後もシリーズ化していくということは?


 「(渡辺琢)監督は寅さんをイメージしているらしいですが、てことは、私、毎回フラれるのかなぁ(笑)。監督は、この4人のメンバーの中で、誰か結婚したりとか、彼氏とか作ったりしたら、映画もまた違う展開にさせられるんだけどっておっしゃるんですが、誰一人、1作目から何も変わってなかったっていう寂しい結果だったんで、3作目には何かしらの発展を望んでいるようです」

——当連載の読者は、黒沢さんと同じ30歳前後の働く女性が多いのですが、同世代として、黒沢さんは、今、仕事や結婚に対して、どんなことを感じていますか?

 「いい仕事をするには、仕事だけしてなきゃいけないっていう時代じゃなくなったのかなって思いますね。恋をしたり、家族を持ったり、私の周りの女性たちは、みんな戦ってますね。相方2人は『吉本に入ってなかったら結婚できなかった』って言っていて、仕事があっての結婚っていうのもあるんだなぁって思いました。20代の時は、結婚なんてって思っていたかもしれないですが、30代になって、いろんな年上の人を見てきて、結婚してみるのもいいんじゃないのって思いますね。劇中、多岐川裕美さんのセリフで『幸せになってみればいいんじゃない。いつだって不幸になれるんだから』ていうようなのがあるんですが、結婚はできる時にした方がいいって、ほんとに思います」

——最後に、「クロサワ映画2011 〜笑いにできない恋がある〜」の見どころをお願いします。

 「笑えるし、切なくて泣いたりもしてもらえる内容です。この映画を見たら、『この4人に比べたら私って幸せだなぁ』って思ってもらえると思います(笑)」

 歌ったり踊ったり、体を張ったネタで笑わせてくれる女芸人としての黒沢さんと、とってもシャイな素の黒沢さん。今回のインタビューで、素顔をたくさん見せてくれて、ますます彼女のファンになりました!