日本人では数少ない「プロ・バスケットボール選手」の五十嵐圭。彼が考える、自分の使命とは

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 日本を代表するプロバスケットボール選手である五十嵐圭。スピード感にあふれたプレーと爽やかなルックスで若い時から脚光を浴びてきた彼も、すでに31歳というベテランの域に達している。現在に至っても飽くことのないバスケへの熱い思い――彼にとって“プロのバスケ選手”とは、いったいどのようなシゴトなのか?

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――所属している三菱電機ダイヤモンドドルフィンズは、五十嵐選手だけがプロ契約で、ほかの選手はアマチュア契約です。そういった環境でプロ選手として心掛けていることは?

「やはり結果を残すことでしょうね。一昨年、トヨタ自動車アルバルクというチームに所属していたんですけど、プレーオフ進出を逃して1年でチームをクビになってしまったんです。あの時プロであることの難しさと厳しさを痛感しました。やはりプロならば結果を出さなければいけない」

――シビアですが、それがまず求められる仕事だと。

「ええ。昨年トヨタから今のチームに入団したんですけど、それまで2年連続最下位だったので、僕の仕事はまずチームを強くしていくことでした。これまでプロとして培ってきた経験や試合の勝ち方を若い選手たちに伝え、なおかつ自分も彼らに負けないよう成長していく。

 プロはひとりだけですけど、以前は僕もアマチュアの社員選手だったので、自分が体験したことを通しアドバイスできることはたくさんあります。アマとはいえこのリーグにいる以上、優秀な選手たちですから、頭ごなしに言うのではなく、気づかせるように語りかける。そんなふうに牽引し、チームを勝たせることが僕に求められている仕事だと思っています。なんとか今年になって、それが少しずつ形になりつつあるのかなって」

――五十嵐選手のポジションはチームの司令塔であるポイントガードです。先ほど“試合の勝ち方”とおっしゃいましたが、それはどのようなことですか? 例えば今日の試合(10月29日の東芝ブレイブサンダース戦)は大接戦で、前半9点のビハインドがありながらも、試合終了直前に五十嵐選手のシュートで劇的な勝利を収めましたが。

「自分の中でゲーム時間40分全体を把握しておくんです。プレーをしはじめて今日のゲーム展開はどうなるのかと読む。前半はビハインドでしたが、こちらと相手の出来を見極めれば、時間をうまく使いながらおそらく後半で追いつけるだろうと。残り5分の時点で同点であれば、自分がゲームをコントロールし、逆転して勝つというイメージが僕にはできていました。

 もちろんうまくいかないこともありますが、そういった勝つイメージがチームメートにも伝わって共有することが大切だし、自分の務めでもある。だから最後の場面は、必ず僕がシュートを打つって決めているし、チームメートもそれを理解してくれている。でも今日は、シュートを決めて勝ち越したとき、残り時間が2秒余っていたんですね。本来なら残り0秒で決めるのがイメージしていたシナリオだったんですが(苦笑)」

――そこまで緻密な計算をされているんですね!

「若い時はイケイケでやってましたけど、僕もベテランといわれる域に入ってきてますからね」

――バスケットボールは日本ではまだマイナーな部類のスポーツなので、プロ野球やプロサッカーと比べ環境面や待遇面で劣ると思いますが、やはり五十嵐選手としてはステータスを上げていきたいと考えているわけですよね。

「もちろんです。バスケットボールの知名度を上げるのも、プロである以上、僕の役目だと思っています。だから知らない人たちが少しでも興味を持つきっかけになるよう、僕としてはメディアにはどんどん出ていこうと活動しています。2006年に日本で世界選手権があった時、けっこうメディアに取り上げていただいたんですけど、やはり反響がすごかった。今は地上波での放送はほとんどしていないし、試合があったとしてもいつどこで開催されているかわからない人も多いですからね。