テキスト系妄想メディア「ワラパッパ (WARAPAPPA )」より

〜ダーリンハニー吉川コラム「1番ショートが夢だった」その14〜

先日静岡県・浜松でロケがあった。

早朝からのロケだったので、前日に浜松に入ることになった。いわゆる「前乗り」というやつである。

前乗りは楽しい。到着さえしておけばあとは自由行動。僕は自由行動が大好きだ。たいてい街を散歩して夕飯を食べてゆっくりするだけだが、独特の浮遊感みたいなものがなんともたまらない。

でも今回は様子が違った。スタッフの方から「いいホテルを取っておきましたよ。鉄道模型をいくつか持ってくると楽しいと思います。うふふ」と謎の留守電が入っていたのだ。僕は要領を得ないまま、模型を何両かバッグに入れて浜松に向かった。

0001
新幹線からの富士山

0002
都会的な浜松の街

0003
ホテルセンチュリーイン浜松

その日の仕事を終えて、浜松には17時ごろ着いた。

さっそくロビーへ向かうと、女性の受付の方がいて丁寧にご挨拶をしてくれた。

「吉川様ですね。お待ちしておりました。浜松の夜をどうぞご堪能ください」

夜?ご堪能?自分の中に地方独特のいけない感情が滲み出てくる。
ただ、模型…。

「さっそくお部屋をご案内します」と言われ付いていくと普通の部屋だった。
標準的で清潔なビジネスホテルである。

「さ、荷物を置いて、こちらへどうぞ。模型もお忘れなく…」

長い廊下を歩く。
僕はどこへ連れて行かれるのか…。

ひとまず女性のあとをついていくと…

0004

じゃーん

なんとホテルの中に鉄道模型ルームが完備されている!

しかも目の前には…

0005
どじゃーん

大きな窓から東海道新幹線と在来線が見渡せるのである。

模型で遊べて、実際の車両も至近距離で見える!

もうパラダイスだ。
いっそのこと「パラダイス・トレインホテル・浜松」と改名した方がいいのではないか。

「なにか車両を借りられますか?」と受付の方が聞いてくれた。
なんとこのホテルは車両のレンタルもしているらしい。

「静岡なので373系はありますか?」
「もちろんです」

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レンタル・トレイン

詳しいお話を聞くと、この部屋は『FPルーム』といい、Fは元素記号Fe(鉄)のF、PはPersonのP、つまり「鉄人の部屋」ということらしい。「徹子の部屋」は聞いたことがあるが、鉄人の部屋とはなんともすごい。

FPルームは1時間500円で利用できて(貸し切りの場合は1時間2000円)、宿泊者は平日・祝日は3時間無料だそうである。模型で遊ぶもよし、写真を撮るもよし。あらためてパラダイスだ。

「今日は予約が入っていないので、朝まで自由に使ってください。お代はいただいておりますので」

え!いいんですか!?


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がしがし

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ジオラマも本格的

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転車台

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デパート

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歌謡ショー

これは伊達なジオラマではない。「ホテルにジオラマあったらお客さん来るんじゃない?」レベルの代物ではない。本物だ。絶対に誰か好きな人がいるのだ。それもホテル長クラスの人だ。でなければこんなことはできない。

知らぬ間に到着して3時間が経っていた。
気づいたらご飯どころか水も飲んでいなかった。

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この側線の数たるや

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持ってきた模型を並べる

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もっと持ってこればよかったと大後悔

ちなみのこれらの車両は僕の友人(ナベさん)が改造してくれたものだ。
横浜線の205系は僕が30歳になるときに頂いたもので、ちゃんとクハ205-30を再現している。これは山手線からの転属車で客室ドアが小窓で行先表示機にLEDが…長くなるのでやめておきます。

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吉川

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ここにもヨシカワ

横浜線で「吉川」も架空鉄としてグッとくるものがある。

兎にも角にもヨシカワ号も嬉しそうだ。

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今度は車窓

!!!

気付いた。

ここは東海道新幹線が通る場所。

=ドクターイエローが通るではないか!!

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ドクターイエロー

ドクターイエローは架線の状態や線路の歪みを検査する車両で、『新幹線のお医者さん』と呼ばれている。文字通り黄色い新幹線で、ダイヤに載ることはない。「願い事をすると叶う」とか、「見ると幸せになれる」という都市伝説まである。僕は一度だけすれ違ったことがあるが、その時は「もう一度ドクターイエローが見れますように」とお願いをした。

ここで張っていたらドクターイエローに会えるかもしれない。

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ひたすら張る

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なかなか来ない

「なかなか来ない」ではない。来ること自体レアなのだ。走るのはだいたい月に3回程度と言われている。ものすごく調べていけばだいたいの目星は付くだろうが、ドクターイエローは偶然会うのがいい。偶然じゃないと驚きもない。

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模型を走らせつつ

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張る

「張っていては偶然と呼べないのでは?」という内なる声を制しつつひたすら待つ。夜はとっくに更けた。

「前乗りってもっとゆっくりするものでは?」
「ドクターイエローって昼間走ることの方が多くない?」
「奥さんに電話しなくていいの?」

など内なる声がうるさい。
現実路線を走ろうとする自分と、理想路線を行きたい自分が分岐しようとしていた。

いよいよ走る電車も少なくなってきた。


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ピントも合わない

現実路線に負けるのは悔しいが、僕は少しだけ寝ることにした。




4時に起きた。
すぐFPルームへと向かう。

6時過ぎにはホテルを出なければいけない。
2時間の間、ドクターイエローを待つ。

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待つ

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ドクターイエローは来なかった

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帰りたくない




結局ドクターイエローは見れなかった。
もしかしたら寝ている間に走ってしまったかもしれない。

でもそれでよかったと思う。こんなにいいホテルに泊まれてさんざん遊んで、挙句ドクターイエローまで見れてしまったら出来過ぎである。

ロケでスタッフの方に話しかけられた。

「昨日はゆっくりできました?」
「できるわけないじゃないですか」
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この記事の元ブログ: 浜松でドクターイエローを待つ


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