韓国ソウルで23日に行われた米韓自由貿易協定(FTA)に反対するデモで、警察がデモ隊を解散させるために放水車を出動し、零下の気温にも関わらずデモ参加者らに冷水を浴びせた。韓国内では「殺人的行為」「非常識」などの批判の声が上がっている。

 一方、同日に警察が放水車を出動した際、国会行政安全委員会からの放水砲による鎮圧を自制してほしいとの要請に対して、ソウル地方警察庁のイ・カンドク長官が「職権範囲外」として応じなかったことが明らかになり、物議を醸している。

 韓国メディアは、民主党のキム・ジンエ議員が24日、ツイッターで「国会行政安全委員会の幹事長が放水砲は止めてほしいと何度も電話をかけたが、ソウル警察庁長官は自分の職権範囲を超えたと言っている」と明らかにしたことを伝え、「一体どの上層部の指示なのか」と疑問を呈した。

 また、イ・カンドク長官は同じくツイッターを通じて「放水砲の使用自制を要請されたのは事実だが、最大限の努力を尽くすとしただけで、私の職権範囲を超えた上層部の指示と言ったことはない」と釈明した。

 韓国のネット上では「背後の人物の公開」を求める書き込みが殺到しており、ネットユーザーらは「一体、ソウル警察庁長官の上に誰がいるのか?警察は大統領府の人形なのか」などと非難の声を上げているという。

 一方、李明博大統領と「特別な関係」を持つイ・カンドク長官の「過剰忠誠」を指摘する韓国メディアもある。2人とも慶尚北道の浦項市出身で、「李大統領の後輩」でイ・カンドク長官は、現政権がスタートしてから釜山地方警察庁や京畿地方警察庁、ソウル地方警察庁長官に至るまで「昇進街道」をひた走ってきた人物だと紹介。

 同メディアは、「李大統領が“後輩”をソウル警察庁長官の座に座らせた時から、“過剰忠誠”を憂りょする声が少なくなかった」と伝え、今回のデモで放水砲の使用を指示したのが「上層部」ではないとすれば、イ・カンドク長官の「過剰忠誠」によるものではないかとの見方を示した。(編集担当:永井武)