11月21日、「作家 角田光代さんと電子読書会にチャレンジ!」と題されたイベントが新宿・紀伊國屋サザンシアター(紀伊國屋書店新宿南店7階)で開催された。

角田光代さんの短編『転校生の会』(『だれかのいとしいひと』に収録)を題材に作家本人が参加する読書会ということで、多数の応募の中から抽選で選ばれた約30人が参加した。

 冒頭で、ソニーの電子書籍ストア「Reader™store」店長の加藤樹忠さんから、電子書籍端末「Reader」についての操作説明があり、画面に軽くタッチすればページをめくれることをレクチャー。参加者の約半数は「同端末に触るのが初めて」だったが、とまどう人もなくイベントはスタートした。

 角田光代さんと進行役のブックディレクター・幅允孝さんが登場し、幅さんから『転校生の会』を書いた動機を聞かれると、角田さんは「自分には転校した経験がないが、転校がいかに大変かを聞く機会が多かった。性格形成にも影響を及ぼすという話を聞いて、そんなことってあるの?と思ったのがきっかけです」と語った。

 作者本人による朗読では、参加者はReaderに目をやり、角田さんの声に聴き入った。物語の最初の数ページが読まれ、終わった瞬間にはあたたかい拍手が。幅さんは、「書いた方自身の声帯を通して聞くと、活字で読んだときとは違う印象がありますね」と感想を話した。

 参加者からも感想が語られ、いくつかの質問が角田さんへ投げかけられた。読者にとって作者と直接話せる機会は貴重だが、作家本人にとってもダイレクトに感想が聞けるのは、有意義な機会。思いもかけない読者の感じ方に「ハッとしました」、「角田さんの本が大好き」という賛辞には「ありがとうございます」と素直な笑みをこぼした。

 電子書籍の良さについて話が及ぶと、角田さんは無類の本好きで、トイレ用、お風呂用、一人でごはんを食べるとき用、電車用、寝る前用と読む本が全部違うというエピソードを披露。「本を忘れて電車に乗ってしまったとき、絶望的な気持ちになる。そういうときにReaderがあれば、すぐに買えるから良い」とのこと。また、「本を読むことは心で受け取ったときに何を思うか。どう化学変化が起こるのかを楽しむのが読書だと思う」と話し、「紙の本であれ、電子書籍であれ、本を読むことの楽しさに変わりはないのでは?」と会を締めくくった。







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