ヒュー・ジャックマン<br />©KaoriSuzuki
 ロボット格闘技の世界を舞台に、人生に挫折した男の再起のドラマと、父と息子とのかけがえのない絆が描かれた、感動のアクション・エンターテイメント巨編『リアル・スティール』。本作でヒュー・ジャックマンが演じるのは、かつて自分の夢のために家族を捨て、その夢も破れて自暴自棄な生活を送る元ボクサー。実生活では二人の子供をもつ良き父親の彼にとって、親子の絆、そして“リアル・スティール=本当の強さ”とは何かを聞いた。

――今回、かつて自分の夢のために家族を捨てたチャーリーという役を演じてみて、如何でしたか?

ヒュー・ジャックマン:チャーリーは自分らしく生きる人だから、自分の魅力や機知に富んだ所を全開に生かして、あの手この手で人生をすり抜けていくんだけど、自分を信じる心を見失ってしまった所があるんだ。それを、息子のマックスが思い出させてくれて、立ち直らせてくれる所が、映画の中心になってくるんだよ。

撮影では、とにかく子役のダコタ・ゴヨくんが素晴らしくて。逆に「もっと自分に辛く当たって、厳しくして、意地悪してくれてもいいんだよ」と言ってくれたんだけど、やっぱり僕は性格的になかなか辛く当たることが出来なかったんだ。役になりきって、本当に毎日ずっと一緒にいたんだけど、普段の生活ではとても出来ないような、子供には暴言を吐きまくることが出来たので、そういう意味ではストレス発散になったりもしたね(笑)。

――奥様やお子さんは、映画をご覧になりましたか? お父さんを観て、どんな感想を持たれましたか?

ヒュー・ジャックマン:実は、子供たちが僕の映画を観たのは、これが初めてなんだよ。『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』はまだ、ちょっと彼らには早いと思って観せなかったんだけど、今回は素晴らしい家族向けの映画に出来ていると思うんだ。子供の同級生まで全員連れて行かされて、さらに自分の妻と義母まで観に来て、家族総出で観に行って。もう3度も一緒に観たんだけど、みんな本当に気に入ってくれて。特に女性陣は、妻も義母もボロボロ泣いてたし、本当に家族みんなで楽しめる映画で。子供たちにもやっと「お父さんはカッコイイ職業なんだ」と認めてもらえたね。大切なメッセージを伝えている映画なので、すごく誇りに思っているよ。

ただ、子供はもう年齢的にも、演じている役柄と実際のお父さんが全然違うことを自覚してくれているので、そういう心配はなかったんだけど、ドキッとしたのは、エヴァンジェン・リリーとのキスシーンがあることをすっかり忘れていて…。それを子供が観たらヤバイと思って、ドキドキしながら横を見たら、「あーあ、家に帰ったら大変だよ? お母さんに怒られるよ」と言われたのが、ドキッとした瞬間だったけどね(笑)。

――チャーリー役を演じるにあたり、5階級制覇を成し遂げた伝説のチャンピオン、シュガー・レイ・レナード氏からトレーニングを受けたそうですが、肉体面だけでなく、精神面でも彼から学んだことはありますか?

ヒュー・ジャックマン:肉体的なことももちろん、体作りという意味でボクサーらしい肉付きの体に見えるようにと教えてくれたんだけど、それ以上に精神面で大事なことを教えてもらったよ。それはボクシングの選手というよりは、むしろセコンドとしての役割で。彼の現役時代にもアンジェロ・ダンディという名セコンドがいたんだけど、その彼の話を色々と聞かせてくれたよ。常にボクサーと絶対的な関係を保って、試合中も目線を保ちながらボクサーを奮い立たせて、戦いの意識をずっとキープすることが、セコンドの1番大事な役目だと教わったね。