――オールドファンからすれば、学ラン姿の鷹さんのクサい演技も見どころのひとつでしたが……。

「そういうのがあったほうが情緒的だっていう声があれば少しは変わったのかもしれないけど、もう手遅れだね」

――若い監督はどうですか?

「メーカーの言いなりで、撮りたいものがある人なんていないんじゃないの? 『え〜、前戯は短めで、その後は正常位、バック、騎乗位、そして正常位って流れでお願いします』とか平気で言ってくるもん。おまえ、何が撮りたいの? 体位を撮りたいわけ?って。一緒にエロい作品を作ろうって気にならないよね」

――確かに昔の代々木忠監督とか村西とおる監督みたいな名物監督も少なくなりました。

「今はメーカーが台本まで書いて監督に発注するわけだから、もはや監督の裁量だとか、監督が撮りたいものを撮る時代は終わったってことだよ。でもそれより、俺が一番腹が立ってるのは女優の扱いがひどいこと。ある女優が現場で『すみません、コーラを飲みたいんですけど』って言ったらADがパッと手を出したんだって」

――金よこせってことですか?

「信じられる? 俺、ウソだと思ったよ。女優さんでメシを食わせてもらってるって感覚がまったくないんだよ。会社員で給料もらってるから、女優なんて駒扱いなんでしょ。もうなんか業界全体おかしくなってて、どうすればいいのかこっちが聞きたいよ。田原総一朗さん、「朝生」で一回やってくれないかな(苦笑)」

――鷹さん自身、そんな状況の中で、引退を考えたりすることは?

「気持ち的にはいつやめてもいいんだけど、俺も生活しないといけないから。とりあえずTOHJIROがやめない限りは俺もやめないよ。俺が唯一、彼と付き合ってるのは、やる気と志があるからだよ。熱いもん、あのオヤジ」

――では、いずれ訪れる引退をどのような形で迎えたいですか?

「数年前、チョコボール向井が無言でこの業界を辞めていったんだけど、それを許した業界が許せないんだよ。あの時、『男優なんて黙っていなくなればいい』っていう空気を俺は確実に感じた。腹立たしくて仕方なかったよ。だからこそ俺は引退セレモニーは盛大にやりたい。男優ってのはこんなに誇らしい仕事なんだってのを最後に見せつけてやりたい。でも、あと10年はTOHJIROが解放してくれないだろうけどさ(笑)」

(取材・文/大野智己 撮影/下川純一郎)

■加藤 鷹(KATO TAKA)
1962年生まれ、秋田県出身。1988年からAV業界へ。出演した作品は6000本を超える。著書に『秘技伝授』シリーズ(KKロングセラーズ)、『鷹論。』(幻冬舎)ほか多数。テレビ、トークショー、雑誌など幅広い分野で活躍中。

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