千数百年の時を超えてタイムスリップ体験(東大・池内研究室提供)

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東京大学・池内克史教授の研究室が奈良県の古都・飛鳥を舞台に、最先端の「ミックスト・リアリティ」の実験を進めている。2011年11月3日〜5日には一般から実験参加者を募り、千数百年前の飛鳥京を疑似体験できる「バスツアー」も実施した。

CG映像により、眼鏡型ディスプレーをかければ現代の飛鳥の景色がたちまち古代の光景に変わってしまうという今回のシステム。研究が進めば、各地の史跡に普及しそうだ。

あなたの目の前で大化の改新が

実験に使われるバスには「全方位カメラ」が搭載されており、乗客は装着した眼鏡型ディスプレーを通じて、リアルタイムで表示される外の景色を見ることになる。ディスプレーにはジャイロスコープと地磁気センサーが仕込まれており、装着者の頭の動き、またバスの動きに応じて見える風景も刻一刻と変化する。

これだけでも興味深いシステムだが今回の実験ではその「現代の飛鳥」の景色に、CG技術で再現した千数百年前の飛鳥京の姿が合成されることになる。

聖徳太子なども過ごしたであろう壮麗な宮廷、建てられたばかりの仏教寺院、道行く官人や飛鳥美人たち、さらには目の前で巻き起こる「大化の改新」などの歴史的事件――立体音響も相まって、乗客たちはまるで千数百年前にタイムスリップして、バスツアーに参加しているような感覚を味わうことができるという。走行区間は板蓋宮跡から明日香村までのおよそ1キロだ。

将来はスマフォでタイムスリップ?

コンピュータビジョンなどを専門とする池内研究室では7年ほど前から飛鳥で「ミックスト・リアリティ(複合現実感)」の研究を進めており、2010年の「平城遷都1300年祭」でも、こうしたミックスト・リアリティを用いた展示を行ってきた。

池内研究室の大石岳史・東京大学特任講師は、「データをクラウド化し、現地はもちろんウェブ上でも同じような体験をできるようにすることで、訪問者・リピーターの増加が図れる。将来はスマートフォンなども使って、遺跡の周囲を歩きながら昔の光景を楽しめるようになれば」と将来への展望を語った。