『ロンドンへ』
 『ガンバレ!日本』

 満員の1万2千観衆の東京・国立代々木競技場。スタンドには、白地に赤字のこんな横断幕がかかっていた。

 来年のロンドン五輪の出場権をかけたワールドカップ最終戦。スタンドのファンの一部はまだ、日本の五輪キップ獲得の可能性を信じていた。だが日本戦の前の試合で中国がドイツを3−0で破った時点で、今大会での日本の五輪キップ獲得の望みは消えていた。

 もちろん日本の選手はその事実を知っていた。別の体育館での練習が終わったあと、監督の真鍋政義は中国戦の結果を伝え、選手たちにこう言った。

「もう自分たちは3位になれない。でもアメリカは世界トップクラスのチームだ。オリンピックで必ず、ぶつかる。オリンピックのセミファイナル(準決勝)と思って戦え!」

 つまりは目標である五輪メダル獲得の「前哨戦」と位置づけたのだ。この檄に選手は燃えた。エースの木村沙織が言う。

「心にずしりと響いた。あれでチームの士気が高まった。よしっ、絶対、勝って終わろうという気持ちになりました」

 ノープレッシャーの日本は強かった。勝利に向け、チームが団結した。とくに魂のディフェンスである。

 拾って、拾って、拾ってつなぐ。安定したサーブレシーブと、ブロックと連動したスパイクレシーブ。神がかり的なレシーブを繰り返し、22歳の江畑幸子、25歳の木村沙織が高いブロックにも、きっちり打ち切った。

 勝負どころが、第1セット終盤。22−24の窮地から1ポイントを返し、さらに木村が、2本連続でブロックにひっかけられて、味方が拾ったスパイクを、3度目にとうとう2枚ブロックを打ち抜いた。執念だった。

 デュースに持ち込み、木村の連続得点などでポイントを重ね、最後は江畑が決めた。29−27。これでペースをつかみ、25−23、25−18のストレートで米国を倒した。

 歓喜が爆発する。日本選手がコートで肩を抱き合い、笑顔で跳びはねる。ミックスゾーン。木村の顔は少し複雑だった。

「五輪キップを逃したのは、すごく悔しいけれど、オリンピックであたる(可能性のある)相手に結果を残せたのはチームの大きな自信になると思います。こういうバレーをしたら、どんな相手にも通用するんだと実感できました」

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