退職するとき誓約書は書かなきゃだめ?
人事との退職手続き中、保険関係の書類の受け渡しが終わったあと、すっと差し出される「誓約書」。内容は在職中に知り得た会社の機密情報を漏らさないものから、中には会社の内情を決して漏らさないことを誓約させるものまで…。違反した場合は損害を賠償するというのが一般的ですが、中には退職金を返金することまで求めるものもあります。この「誓約書」、本当に提出しなければならないのでしょうか。提出しないことで何か不利益をうけることがあるのでしょうか。

退職するにあたり誓約書の提出を要求され困っています

教えて!gooに質問を寄せたstoweさんは、長年勤めた会社を退職しますが、この会社が不正行為をやっているので、退職後に税務署、労基署にその不正を告発するつもりでいます。事実だとすれば、当然それにより会社は追徴課税等の金銭的懲罰をうけることになりますが、提出を求められている誓約書に「会社に損害を与えたときにその損害を賠償する」と書かれているため提出はしたくないそうです。しかし、仮に提出しなくてはならない場合、誓約書にある通り賠償を要求されるのか?退職金等が減額されるのか?と悩んでいます。

■名誉毀損は不成立。損害賠償請求はできない

賠償についてはこんな回答がありました。

「不正行為のリークについてですが不正行為をリークしたことによる損害賠償は請求できないと思います。しかし、その情報が正しい情報でなく、誤った情報である場合、名誉毀損や風説の流布などの理由で、賠償を請求される可能性はあります。」(OK-toshikunさん)

このように、名誉毀損や風説の流布の可能性があると思われる方も多いようです。実際のところどうなのでしょうか?

実は、公的機関に情報を提供しても、捜査(査察)をするかどうかの決定権は公的機関にありますので、その結果会社に追徴課税などの金銭的損害が発生しても、情報をリークした本人に会社が損害賠償請求することはできないのです。例えその情報に誤りがあっても真偽を判断するのは公的機関なので、問題はありません。ちなみに、風説の流布は証券取引法の規定なので、労働基準法とは関係ないと付け足しておきましょう。

■誓約書を提出しないことによる不利益はうけない

では、誓約書を提出しないことで何かペナルティはあるのでしょうか?

「その会社がもし上場企業やそれなりに腕のある弁護士を付けている会社なら、脱税などの不正の全額とまではいかなくても、何らかのこじつけで支払い義務が発生する場合もあります。例えば、脱税を質問者さんの横領にするとか、潔白を証明できない何かを質問者さんのせいにするとかならよくある話です。リークにメリットがあれば別ですが、誓約書にサインするのが無難だと思いますよ。もちろんサインしないのがベストですが」(kenshin2さん)

という回答がありましたが、誓約書を提出することは完全任意ですので、誓約書を提出しないことにより退職金を減額することはできません。

また提出しても機密情報とは、会社の技術ノウハウ、個人情報等がこれにあたり、かなりその範囲は限定されていますので、会社の違法行為等はこれにあたりません。

誓約書を提出させる意味は、ほとんどの場合、退職者に「損害賠償の可能性がある」との恐怖心を植え付ける意味合いと、本当の意味の「機密情報」を漏洩しないようにさせる意味合いの二つとなります。

桜井 規矩之左右(Kikunozou Sakurai) →記事一覧

■関連Q&A
誓約書の効力について
不倫の証拠(誓約書)
■関連記事
同業他社に転職して、前職から損害賠償請求?
「怒鳴られるかも…」内定辞退が心配です