“おしん横綱”として知られた鳴戸親方(元横綱隆の里)が11月7日午前9時51分、急性呼吸不全のため福岡市内の病院で死去した。59歳だった。

 今年納めの九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)が始まる直前の訃報に関係者は騒然となった。というのも、新大関琴奨菊のデビューなど話題は多いが、最大の注目が弟子の関脇稀勢の里(25)の大関取りに集まっていたからだ。
 「昇進の合格ラインは11勝。先場所、横綱白鵬を破るなど、力強い相撲で12勝しているだけに、琴奨菊に続いて2場所連続で日本人新大関が誕生する可能性は高いですからね。本人もやる気十分でした。九州入りして最初の稽古でいきなり54番もやり『稽古はウソをつきませんから、しっかり仕上げていきたい』と笑顔で話していました。この猛稽古ぶりを伝え聞いた白鵬が『こっちもやらないとヤバイ』と行事で稽古ができなかった2日、急きょ、午後からまわしを締めて異例の昼稽古をしたぐらいです」(大相撲担当記者)

 実は、この稀勢の里と対照的だったのが番付発表直前に“弟子暴行”“インスリン注射強要”疑惑が報じられた鳴戸親方だった。10月31日も稀勢の里とともに記者会見に応じたが、普通はピリピリするのはチャンスを目前にした力士の方なのに、この日は逆。
 「事前にマネジャーが会見場内に入る記者の社名をチェックし、カメラマンには『社名入りの腕章をつけるように』とクギを刺すなど、超の字がつく厳戒態勢が敷かれました。もちろん、暴行疑惑に関した質問はすべてシャットアウトでした」(同)

 弟子に対する凄惨な暴行内容に加えて、行司による新弟子へのセクハラなどの新たな疑惑も報じられ、鳴戸親方にすれば、精神的にも重圧がかかっていたのかもしれない。
 「稽古場入口にも、部屋関係者と相撲記者クラブ以外は入室禁止、という張り紙が貼られ、カメラマンは入室もできない。稽古場の周りをウロついていると、マネジャーが腕章をつけるように目を光らせていました。相撲協会は疑惑について継続して調査することにし、師匠の暴力行為を補助したとされる稀勢の里も事情聴取の対象になっていた。そんな矢先の鳴戸親方の急死。自身の疑惑を一部認めた情報もありました。第一報を聞いたときは自殺かと思いました」(協会関係者)

 師匠の弔い場所となるか。