全員無事に帰ってくるまでが北朝鮮戦です!

歴史的アウェー北朝鮮戦を迎えた15日。現地に乗り込んだ日本代表はアジア3次予選をつつがなく戦い、帰国の途につきました。結果は0-1という敗戦で、ザッケローニ監督就任以来初の敗戦となりましたが、そんな雑事はこの際どうでもいいでしょう。無事に帰り、お互いに揉め事がなければそれで十分です。

そもそも、22年ぶりに訪れたかの地は、日本にとっては極めて特別な場所。確定的な事実だけを見ても、ミサイルをコッチに向けて撃ってきたり、突如として日本人を拉致したりしてきた独裁政権が、今なお存続しているスペシャルエクセレントアウェーです。スポーツに政治を持ち込まないという大人の対応で試合をしに行っているだけで、できることなら行かせたくないのが本音。日本は3次予選の突破をすでに決めているのですから、なおさらです。この試合唯一にして最大の目標は、選手・関係者・サポーターが無事に帰ってくること。それさえ達成されれば万事OKということで、イイ感じに負けたこの試合は、逆にナイスゲームだったとさえ言えるのでは。

それにしても、この試合にあの男が間に合わなかったのは幸いでした。日本敗戦の理由探しで、おそらくは挙げられるであろう本田△圭佑さんの不在。右ひざの負傷により戦線を離脱している本田△さんは、1日に発表されたメンバーから漏れ、北朝鮮戦には帯同せず。ただ、復帰は間近という情報もあり、そういう意味では「ギリギリの回避」となりました。僕はメンバー発表の際、正直胸を撫で下ろしたもの。むしろ試合自体よりも、この回避劇にこそ緊張していたほどです。

北朝鮮に乗り込む際には、カメラ・携帯電話・パソコンなどの持ち込みは厳しく制限されるといいます。さらに、日本からの持ち込みに制限があるばかりか、輸出入禁止の措置により、北朝鮮からの持ち出しも制限が掛けられているとのこと。サッカーの試合なのに、日の丸を見せることも危険と囁かれ、代表のユニフォームを着て応援することが安全なのかどうかすらわからない状況でした。そして何かあっても、現地に日本大使館はないので中国大使館に代理で対応してもらうことになるという不透明感。

そんなチャレンジングな舞台にあの男がいたら…想像するだに僕は空恐ろしくなってきます。

まず平壌に降り立った瞬間、ピカピカのサングラスにド金髪という怪しい風体で警備を威嚇(成田でも十分アヤしい)。挑戦的な目でそこらを監視し、肩で風切って入国審査へ(成田でも異彩を放つ)。「ケイスケホンダ」「車のホンダではありません」「旅の目的?それは戦うためだ」というキラーギャグで審査官をおちょくれば、物品検査で「何故時計がふたつあるのだ?」「ひとつは隠しカメラでは?」「あるいは密輸か!」という怒号が空港にこだまする(成田でも時計2つは『?』となる)。両脇を兵士に抱えられながらも「俺は世界のどこでも俺のやり方を崩さない」と宣言したり、入国審査で一人だけ倍の8時間足止めされても「これは逆にチャンスやな」「この8時間で俺はさらに成長できる」とブツブツ言い始める(成田でも若干怖い)。

無事入国できたとしても、ホテルで大人しくしていればいいのに「その土地を感じることが第一歩」とかの理由でフラフラしたり、「誰が相手でも倒すだけだ」というコメントが独り歩きして反体制派ととらえられたり、私服で出歩いたら警官が飛んできたりする危険の数々。何となく日常的に拳銃を持ち歩いていそうな雰囲気もありますし、僕が警備兵なら一発撃ってから所持品を確認することでしょう。ことに、最近凝っている西部警察か何かのコスプレは、明らかにアヤしかったですからね。いやー、連れていかずに済んでよかった。

ということで、日本に戻ってきてから「中立地の無観客試合なら絶対負けないからな(涙)!かかってこいや(涙)!」と強がりを言うイメージで、15日の「ワールドカップアジア3次予選 日本VS北朝鮮戦」をチェックしていきましょう。