11月6日、東京・国立代々木競技場第2体育館での王座決定戦で、クリスチャン・エスキベル(メキシコ)を破り、WBC世界バンタム級王座を奪取した山中慎介(29=帝拳)に思わぬ事態がふりかかった。WBCによって、王座返上とみなされた前王者のノニト・ドネア(28=フィリピン)がタイトル返上を否定したのだ。

 そもそも、この試合は挑戦者決定戦として行われる予定だった。ところが、試合2日前に、WBCのマウリシオ・スレイマン事務局長が「ドネアは10月の防衛戦前から階級変更を公言していた」として王座返上を決め、急きょ、王座決定戦に格上げしたのだ。ドネアからは返上届が提出されていなかったが、「家庭の事情で多忙なため、連絡が取れていない」としていた。

 ところが、当事者のドネアが自身のツイッターで、「私はまだ118ポンド(バンタム級)のタイトルは返上していない。WBCであれWBOであれ(ドネアは2団体王者)、タイトル返上は自分が決めること」と返上そのものを否定したのだ。

 これに泡を食ったのがWBCと山中が所属する帝拳ジム。ドネアは10月の防衛戦で、WBCからの指名試合を義務付けられていたが、「これがバンタム級最後の試合だから」と主張し、指名試合を回避し、選択試合(挑戦者を選択できる試合)に変更した。もともと、ドネアが最後の指名試合を行ったのは、09年3月で、指名試合の期限である1年はとうに過ぎており、WBCは「返上の約束」を重んじたのだ。しかも、ドネア陣営は帝拳ジムと、1階級上のWBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃との対戦交渉を進めており、帝拳側としても、キツネにつままれたような思いなのだ。

 WBCのホセ・スライマン会長は「人気選手のわがまま」と不快感を示したが、山中としては冷静ではいられない状況となった。万が一、このままドネアが返上無効を主張し続ければ、事態はまさに混迷を極めることとなる。
(落合一郎)

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