深まる秋とともに心配されるのが、インフルエンザや風邪などの病気。同時に、ガン、心臓病、脳卒中に次いで死亡率が高い(第4位)とされる肺炎の発生も多くなる。特に中・高年者や慢性の病気をもつ人はかかりやすく、治りにくい傾向があるため、予防や早目の治療が必要だ。
 肺炎という病気は、感染する環境や病原微生物によっていくつかの種類に分けられ、それぞれ症状や治療法も異なる。だからこそ肺炎の起こる仕組み、メカニズムを知ることが大切。日常生活の中で、改善すべき点に注意する事によって防げる場合もあるからだ。

 2008年12月、本誌で対談のホステス役を務めたこともある人気タレントの飯島愛さんが若くして亡くなった。36歳だった。死因について行政解剖と病理検査が行われた結果、肺炎であることが判明。
 「細菌の感染による肺炎と聞いています。適切な治療がなされていたら…」と医療関係者はいう。
 肺炎の多くは、胸部痛や熱、咳、痰などの症状が伴い、若い人でも気付かないうちに重症化してしまい、死に至るケースもある。

 「肺はスポンジのような構造で、空気を含んでいる組織。健康な肺は、鼻孔から気管を通って外界から入り込む細菌やカビ、ウイルスなどを24時間休まず排除しています。しかし、入り込んだ細菌などの量が多かったり、タバコや粉塵の吸入などで肺の免疫力が低下すると、菌やウイルスの方が優位になり、肺炎になってしまうのです」
 こう説明するのは、大田区で総合クリニックを営む久富茂樹院長だ。
 さらに、高齢者や糖尿病、肝硬変、慢性腎不全などの持病のある人が肺炎を引き起こすと、重症化して危険だという。肺に菌などの異物が入り込むと、本来なら戦ってくれる防衛軍(免疫力)の力が持病で弱っているため、時には全身に炎症が広がって命が脅かされる事もあるという。

 肺炎は病原微生物の種類により「細菌性肺炎」「非定型肺炎」「ウイルス性肺炎」などに分けられる。それぞれ治療薬も違い、複数の菌が混合感染している場合もあるが、一般的に「肺炎」というときは細菌による感染が原因の「細菌性肺炎」を指す。
 症状は高熱、咳、痰や呼吸困難などが主で、黄色い痰が出るのが特徴。気管支につながる肺胞(はいほう)と呼ばれる部位に起こり、細菌感染を伴った炎症のことをいうのだ。
 原因の一つとされるのが誤嚥(ごえん)。本来、食道を通って胃に送られるべき食べ物や唾液が、間違って気管の方に入ってしまうこと。
 「食べ物や飲み物なら、不潔ではないのに」
 と思われがちだが、肺にとっては食べ物も雑菌だらけの異物でしかない。そうした物と、口の中の唾液や逆流した胃液などと一緒に雑菌が少しずつ気管から肺へ入り込み、重症化することがある。
 高齢者や脳卒中後の患者に多く見られる傾向だが、口の中は雑菌が多く繁殖しているので、虫歯があったり、歯周病であったり、歯磨きを怠り口腔内を不衛生にしていると、年齢には関係なく若い人でさえ起こりえる現象だ。