“ダメ人間”だった歴史上の偉人たち

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 教科書に載るくらい有名な歴史上の人物も、生身の人間。何百年か前に、私たちと同じように楽しんだり、悩んで落ち込んだりしていたはずだ。
 『世界史をつくった最強の三〇〇人』(小前亮/著、星海社/刊)では、「歴史のおもしろさを伝えたい」という自称“かなり性格の悪い歴史小説家”小前亮氏の信念から、人物の事績よりも、性格やエピソード、ゴシップを紹介。その中には、あら探し、揚げ足取り、偉人を揶揄することも。誰もが知る人物から歴史に詳しい人でも知らないようなマイナーな人物まで、多彩な324人が登場する。

 本書に登場する人物たちを何人か紹介したい。
 江戸幕府初代将軍の徳川家康は慎重なイメージがあるが、実は何度も窮地におちいり、そのたびに紙一重で生き延びている。性格的にいえばよく言えば倹約家、悪く言えばケチであり、衣食住について華美を嫌ったという。その反動か、墓(日光東照宮)はやたらと派手だ。
 オーストリアの天才作曲家、モーツァルトは生活力ゼロだった。尾籠(びろう)な冗談を好んだとか、収入は多いのに借金まみれだったなどエピソードには事欠かないという。天才ゆえに、生活者としては落第であった。
 哲学者のカール・マルクスは、ブルジョワジーの家に生まれたが、ほとんど働かなかったので収入がなく、同志で資本家のエンゲルスに頼って生活していた。思想家、経済学者としては天才で後世に多大な影響を及ぼしたが、私生活ではまったくのダメ人間だった。

 後世に名を残すほどの功績を残した人物たちも一人の人間。ならば、等身大の彼らはどうだったのか? 今まで知らなかった歴史上の人物の新たな一面を発見して、その人のイメージも変わるかもしれない。
 一人一人の記述は短いが、歴史上の人物の新たな側面を楽しめる1冊だ。
(新刊JP編集部)



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