【Room Scope vol.39】 廃墟空間を演出するリノベ物件

【Room Scope vol.39】 廃墟空間を演出するリノベ物件
 「賃貸マンションや賃貸アパートで暮らす」と聞くと、持ち家では無いだけに何かと制約が多くてつまらなそう、そんな風に感じていないだろうか。しかしホントのところは一体・・・?
「Room Scope」はそんな疑問に答える連載企画。賃貸ライフを楽しんでいる賃貸上級者とも言うべき方々のお部屋におじゃまし、賃貸のお部屋で毎日を楽しむためのポイントを調査する。あなたの賃貸ライフの参考にしてはいかがだろう。

築50年の古いマンションの最上階で暮らすボヴェさんの部屋は、改装OKの賃貸物件。手を加えながら、自分の部屋を作り上げていくことの醍醐味について伺った。

【オーナー(入居者)プロフィール】
ボヴェ啓吾(会社員)
【お部屋データ】
所在地:東京都目黒区
物件:賃貸マンション
築年数:50年
家の広さ:1LDK/48平米
家賃:110,000円
アクセス:東急東横線「都立大学」駅から徒歩10分
住まいの形態:1人暮らし



廃墟的なペントハウスでリノベを楽しむ

「古いものや傷ついたものが持つ美しさが好きで、廃墟や産業遺産を巡るのが趣味」と話すボヴェさん。物件を選ぶ際も、敢えて新築を避け、築年数が古くても味のある部屋を探し求めていたという。そんな彼のお眼鏡に適った不動産屋は、個性的な物件を数多く持つR-STORE(http://www.r-store.jp/)。“賃貸物件ストックを廃墟にせずに再生する”という理念を持つR-STOREと、ボヴェさんの“廃墟的な空間に住まう”という理想が一致したというわけだ。


まるで絵画のようなフォトジェニックな空間。壁一面はコンクリートの打ちっぱなしのようにも見えるが・・・

 そこで運命的な出会いを果たしたのが、築50年の古いマンションの一室。しかも、最上階のペントハウス! ボヴェさん曰く、「自分の手ではどうすることもできない窓の外の景色、日当たり、風通しが良かったこと」が入居の決め手になったのだとか。さらに不動産屋を介して、汚れが目立つ壁紙を現状復帰の義務なく自分でリノベーションすることをオーナーさんに交渉し、承諾を得たということも大きな収穫だったようだ。実はこの物件、長く空室が続いていたそう。ひょっとしたらオーナーさんにとっても願ったり適ったりの提案だったのかもしれない。
 こうして、今年の5月に理想の住処へ転居したボヴェさんは、夏休みを利用して入居前から気になっていた壁の改装に着手する。

その作業で大活躍したのが、こちらのスチームクリーナー。


ドイツ製ケルヒャーのスチームクリーナー。水を入れて蒸気で壁紙を剥がす。この一台で大変な作業が効率的に

 このクリーナーを使って何層にもわたる壁紙の裏側をヘラで剥がし、モルタルの壁面を剥き出しにした。作業は1週間にも及んだが、出てきた壁の質感が気に入り、本来予定していた塗装を取りやめたそう。
 また、建物の老朽化に伴いモルタルで埋められたガラス窓があったが、趣味で撮っている写真を大判印刷してディスプレイすることで、窓枠を額縁のように見立てたのだとか。


もともとあった窓の木枠をいかして、自身で撮影した写真を貼り付けた。所々ヒビ割れたモルタルの質感と調和している

 さらには、キッチンに貼られたタイルの目地を塗り替え、窓のアルミサッシにカッティングシートを張り、プラスチックのスイッチプレートを真鍮や木のプレートに付け替えた。こういった細部にわたるリノベは、まさに職人技とも言っても過言ではないだろう。


木材のプレートはボヴェさんが時間をかけて見つけた「木楽」という商品。(株)樹の森という会社で購入できる


こちらは真鍮のプレート。簡単に付け替えができるそうなので、リノベビギナーにもお勧めである


家具やインテリアに込められた哲学

 ボヴェさんのこだわりは、家具やインテリア選びにおいても徹底している。「いかにも誰かが頑張ってデザインしましたという佇まいの家具を揃えるのではなく、新品家具・古家具・廃材など幅広いものから、シンプル且つ自分の感覚にあったものをセレクトしました」とボヴェさん。


新品のソファーは大阪まで足を運んで購入。古家具のテーブルは江戸時代の茶箱を利用。新旧ミックスのセレクトが光る


歴史を感じさせる茶箱は、テーブル且つ小物の収納箱としてマルチに活用されている。なるべく物を排除した収納を心がけているようだ

 「基本的には建物や家具も全て人工物ですが、時間をかけて負っていく“傷”に美学を感じます。視覚偏重的な石油製品よりも、無垢材やガラスのように触覚的な素材は“傷”が“味”になっていくので、自然物に近づいていくような感覚がある」。
 こういったボヴェさんの哲学は、前述した「古いものや傷ついたものが持つ美しさが好き」という理由で廃墟にインスパイアされることに通じるものがあるだろう。


これからのリノベ計画と展望

 現在の家へ引っ越してから半年が経ち、次なるリノベプランを構想中だというボヴェさん。その手始めに、寝室の壁紙を剥がして藍鼠色に塗装しようと予定している。


リビングから一段高くなった、小上がり風のスペースがベッドルーム。今は真っ白の壁紙が塗装後にどんな雰囲気になるのか楽しみ

 また、リビングの絨毯の上から古材の足場板を敷き詰めてフローリングに・・・と考えているそう。


リビングから丸見えのキッチンは、大きな布で目隠し。現在は絨毯張りの床に5ミリ厚の足場板を敷き詰めるのが目下の目標


 リノベ物件で暮らし、大いに部屋作りを満喫している彼に、賃貸生活の極意について聞いてみた。
「分譲物件にはメリットもあると思いますが、大きなローンを背負って生活することがイメージできませんでした。とくにその意識は3.11の震災後に強いものになったと思います。
 賃貸物件の良さは、いつでも引っ越せること。だから、築浅・駅近などの条件に捉われず、偏りがあっても変わった物件に住むことがお勧めです。その方が部屋の個性や問題をどう利用しようか、克服しようかと考えるのが楽しいし、愛着も湧くと思います。古い家であれば、僕のようにダメもとで自力のリノベーションを大家さんに交渉してみるのも一つの手。とにかく、自分にとって心地よい空間を作り出すことが大切です」。

 ボヴェさんの根幹にある“廃墟的な空間に住まう”というテーマは、この部屋を介してどのように具現化されるのだろうか。また1年後に取材へ訪れたくなる部屋の一つとなった。


類似物件はこちら

たとえばlivedoor不動産で「東京、目黒区、11万円以下、40?以上」という条件のもと、今回紹介のお部屋に似た物件を探すと、次のように様々な物件を見つけることが出来る。

 ・千葉県東急田園都市線「駒沢大学」駅の物件(掲載期限:2011/11/22)
 ・東急東横線「学芸大学」駅の物件(掲載期限:2011/11/23)
 ・東急東横線「祐天寺」駅の物件(掲載期限:2011/11/19)
 ・東急東横線「中目黒」駅の物件(掲載期限:2011/11/20)
 ・東急目黒線「洗足」駅の物件(掲載期限:2011/11/9)
 ・東急目黒線「大岡山」駅の物件(掲載期限:2011/11/21)



■関連リンク
 ・Room Scope過去記事一覧


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