VOL.3ハワイ食のルーツと伝統

ハワイ オアフ島の歴史は古代ポリネシア人が"幻の楽園"を信じてこの島にやってきたことから始まり、現代の定説では最初に移り住んだのはマルケサスに居住していた古代ポリネシア人と言われている。彼らの食文化がルーツとなって、初期のハワイではマルケサスやタヒチの人々の食習慣がそのまま伝えられ、次第にハワイの風土や海洋環境にあった独特なものに変わっていった。

彼らはアフプアア(ahupua'a)と呼ばれる自給自足をベースとした共同体を作り、山の頂から豊富な魚介類が獲れる海岸まで、主食のタロイモを水耕栽培するのに適切な河川(水源)や渓谷を平等に分配して暮らしていた。その後キャプテン・クックや各国からの移民がそれぞれの食文化を持ち込み、ハワイ諸島各地を開拓し、現在のような多様な食文化が混ざり合う独創的でバラエティ豊かなハワイの食文化が築かれていったのだ。

古代ポリネシア人が持ち込んだ食用植物の中でも、ハワイの土壌と気候に最も早く順応したのがタロイモだ。タロイモを蒸して、潰し、ペースト状に練ったポイは、今でもハワイアンの主食として食べられている。ポイは鉄分、カルシウム、ビタミンCとA を豊富に含み、食物アレルギーを起こす心配もなく優れた炭水化物食品として、その優れた栄養価が米本土でも注目を集め、"ポイ・ダイエット"がフィットネス誌でも紹介されているほどだ。

古くからハワイには「ポイがテーブルの上に出されているときに言い争ったり、中傷の言葉を使ってはならない。愛情と感謝と誠意に満ちた言葉だけをつかべし」と言い伝えられており、言霊が食物にも大きな影響を与えると信じられている。人間が、大自然を敬い感謝することにより、その食物は真のソウルフードとなり、心を癒し身体を満たしてくれる。そのことを古代ハワイアンはタロイモを通して学び、その哲学は脈々と子孫へと伝えられていった。

オアフ島ノースショアに、タロイモを栽培する水田がある。生命の象徴であるタロイモが育つ水田は、エネルギーの宝庫であり清々しいマナ(ハワイの魂)に溢れる聖なる場所だ。周囲の騒音すら吸い取ってしまうような不思議な静けさを持つタロイモの水田は、初めて来た人でもなぜか懐かしい気持ちに満たされる。

ハワイでおなじみのディナーショーといえば、ルアウ(いわゆるハワイの宴会)がある。フラダンスやポリネシアン・ダンスなどを見ながら、ハワイ伝統料理を味わえるショーで、ホテルやガーデン、レストランなどが主催している。ルアウとは「祝宴」を意味し、ハワイアンのおもてなしのスピリットが息づいた遠来の客を囲んだ歓迎の宴には、さまざまな伝統料理が並べられ、それら古代ハワイアンの食生活を色濃く残す料理が「ルアウメニュー」なのだ。

ルアウに欠かせない中心メニューは、「プアア」=豚肉を「イム」(土を掘って作るオーブン)で豚を丸ごと蒸し焼きにする豪快な料理「カルア・ピック」、ハワイアンの歴史に欠かせないタロイモを叩いて磨りつぶしペースト状にし、発酵させた「ポイ」、タロイモの若葉で肉と魚を包んで蒸し焼きにした「ラウラウ」、ハワイ風の刺身料理「ポキ」、ココナッツミルクのデザート「ハウピアプリン」などがある。ダイエットフードとしても注目されているポイ同様に自然の恵みをそのまま取り入れる食生活スタイルから生まれたハワイの伝統料理の多くは、栄養価が高くヘルシーで栄養バランスも良いことで知られている。滞在中の美食の数々でウェイトオーバーが気になる人は、ハワイの伝統食を取り入れてコントロールしてもいいかもしれない。

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