山野浩一は1939年、大阪市生まれ。今は競馬評論家として有名だが、1960年代半ばから1980年代初めにかけてはSF作家・SF評論家として活躍(日本SF第一世代に属する)。ニューウェーヴSFの旗手として知られた。

 もっとも、小説の著書は少なく、長篇『花と機械とゲシタルト』と連作集『レヴォリューション』のほかに、短篇集が4冊出ているだけ。いずれも長く品切になっているが、今回、小説の著書としては28年ぶりとなる短篇集、《山野浩一傑作選》全2巻が創元SF文庫から刊行された。中身は、既刊の短篇集4冊に収録されている代表作15篇に書籍未収録だった幻の短篇4篇を加えて再編集したベスト盤。ともに既刊の短篇集と同じ題名が使われているが、文庫化ではなく、収録作はまったく別物。

 第1巻にあたる『鳥はいまどこを飛ぶか』は、表題作の他、「消えた街」「赤い貨物列車」「X電車で行こう」「マインド・ウインド」「城」「カルブ爆撃隊」「首狩り」「虹の彼女」「霧の中の人々」の全10篇を収録。

 第2巻にあたる『殺人者の空』は、表題作と「メシメリ街道」「闇に星々」「Tと失踪者たち」「ザ・クライム(The Crime)」の他、これが書籍初収録となる「開放時間」「φ(ファイ)」「森の人々」「内宇宙の銀河」を加えた全9篇を収録している。

 書籍未収録だった初期短篇の中には、実験的なニューウェーヴSFの作家というイメージを覆す、いかにもジャンルSFっぽい作品もあって、作家・山野浩一の意外な一面を見せてくれる。

(大森望)







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