デビュー作が15万部突破。その勢いはとどまることを知らず、近い将来、おそらく若手ビジネスパーソンや学生必読の本として広く普及することだろう2冊の本をご存知だろうか。京都大学の若手人気講師として活躍中の瀧本哲史さんが執筆した『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社/刊)と15万部を突破した『武器としての決断思考』(星海社/刊)だ。
 そして、10月18日、丸善丸の内本店で『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』の購入者を対象とした講演イベントが開催された。

 普段は表舞台にその姿をあらわすことが少ない瀧本さん。そういう意味でも今回の講演は大変貴重な場であり、20代から40代を中心にスーツを着込んだビジネスパーソン、私服姿の学生など100人が足を運んだ。
 講演会のタイトルは「軍事顧問は若者に必要な武器を配ることにした」。
 “武器”と何か。今回の講演会では瀧本さんの経歴からはじまり、資本主義論、世に出回っている論理思考法への批判、そして本が売れた理由など、質疑応答を含めての1時間半をノンストップで駆け抜けていった。

 瀧本さんは東京大学法学部を卒業後、東大助手を経て、マッキンゼー&カンパニーに入社、そして独立。現在はエンジェル投資家として活動しながら、京都大学准教授として教育、研究、産官学連携活動を展開している。
 学者にはじまりコンサルタント、経営者、投資家、そして再び学者と、一見全く違う職を転々としているように見えるが、「自分はやっていることはそんなに違っているとは思っていない」と瀧本さんは話す。そして、「基本的には情報を集めて、分析をして、意思決定をする。その流れは全て共通していて、一貫している」という。

 そんな瀧本さんは講演会の中で、オーディエンスに投資家の視点で物事を見るということを勧める。例えば、成果が出せるリーダーとはどんな人を思い浮かべるだろうか。リーダーシップについて書かれている本を参考にすると、部下のパフォーマンスを最大限引き出せたり、調整役もちゃんとこなせたりする人という、いわゆる「常識人」というイメージはないだろうか。
 しかし、瀧本さんは、実際の成果を出せるリーダーはちょっと変な人が多いと話す。例えばスティーブ・ジョブズはカリスマ的人気を誇り、理想の上司としても評価されているが、内実はかなりえぐい人物だったという(瀧本さんはその内実を知れる本としてアスキーから刊行されている『アップル・コンフィデンシャル』を勧めていた)。しかし、あれだけ企業を成功に導いたリーダーは他になかなか見受けられないのは事実だ。

 また、この2冊が売れた理由として3つのキーワードをあげた。「テーマ」「タイミング」「チーム」だ。
 そのうち、『僕は君たちに武器を配りたい』の「テーマ」では、もともと資本主義の話は難しいため、女子高生か女子大生を主役にした企画案が混じっていたという裏話を披露。冷静に考えた結果、類書が多く、いまさら自分たち(瀧本さんや編集者等を含めたチーム)が勝てる理由は見つからないということからやめたという。

 「私の成功は私の周りの人の成功によって測定される」という瀧本さん。そして、今回著した2冊の本が、20歳になる前に読む本として定番化するのが究極の目的だと語った。それに近い状態になることは想像に難くない。この2冊には、それだけ大切なことが書かれているのだ。
 他にも様々な内容が語られたほか、質疑応答でも活発に質問が飛び出し、1時間30分という時間を全く感じさせない講演会となった。
(新刊JP編集部)



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