男は黙ってJISマンホール!!めちゃ地味なJIS型マンホールの世界

写真拡大


さて、今回はバトンさんの名言、「もちろん漢(おとこ)は黙ってJIS マンホール」にもでてきたJIS型マンホール蓋を取り上げてみたいと思います。

JIS型マンホール蓋とは

マンホール蓋と言われて、ほとんどの人が思い浮かべるのは、このJIS規格模様のマンホール蓋(以下JIS型マンホール)の派生系ではないかと思います。


東京23区のマンホール蓋(2009年8月撮影)
うっかり逆向きに撮ってしまいましたが、私の中ではザ・マンホール蓋、マンホール蓋の中のマンホール蓋。そう「キング・オブ・マンホール」でしょうか。(といっても都内在中の人限定ですが。)マンホーラーになるまでは、この蓋しかないと思い込んでいました。
そう、これが、典型的なJIS型マンホールです。

今まで私の記事でご紹介してきた絵柄が入っているマンホール蓋とは違い、地味ではありますが日本中どこにでもある蓋です。数も多く日本のマンホール蓋のデファクトスタンダードと言っても過言ではありません。

ではそもそもJIS型マンホールとは何なんでしょうか?
JISはもちろん日本工業規格の事ですが、この標準規格で1958年にJIS A 5506「下水道マンホールふた」として後述する東京市型をベースとしたマンホール蓋の規格が決められたのです。
日本工業標準調査会のホームページ JISA5506
この規格の参考としてつけられた図面に描かれたのがJIS型マンホールと呼ばれているものなんです。

話は脱線しますが、この規格を決めた方々が偉かった、規格を定めた図面の備考に「模様、紋章座及びガス抜き孔は、参考として示したもので規格の一部ではない。」と記載してくれたのです。そう、この一文のおかげで日本には魅力的なマンホール蓋があふれることになったのです。

では話を元に戻して、いくつかJIS型マンホールを見てみていきましょう。


諏訪市の蓋(2010年5月撮影)


相模原市の蓋(2009年8月撮影)


瑞穂町の蓋(2010年1月撮影)


鎌倉市の蓋(2008年4月撮影)
大きな鎌倉の文字が印象的ですね。

そうお気づきですね、基本的なデザインはほぼ一緒で、真ん中の市町村章の部分や、外帯と内帯の始点、書かれた文字が違うのです。

これらがJIS型マンホール蓋なんです。(厳密には、外枠の90度と270度の部分を見ると鎌倉市、相模原市の蓋はJIS型マンホールにとても近いが真のJIS型マンホールとはいえないという見方もあります。)

JIS型マンホール蓋にそっくりな蓋達

おや、「うちの地区のマンホール蓋は、似ているけど何かが違う!?」そう思われた方も多いのではないかと思います。
日本の各地には「東京市型」をベースに規格されたJIS型マンホールによく似た、「名古屋市型」と呼ばれるものも広く設置されているのです。

「東京市型」と「名古屋市型」は1984年に販売された林丈二さんの「マンホールのふた 日本篇」で提唱された分類です。
時代は日本に下水道が整備されはじめた明治後期から大正初期頃にさかのぼりますが、当時の東京市には東京市下水改良事務所、名古屋市には名古屋市水道敷設事務所という組織があったそうです。「東京市型」は東京市下水改良事務所の仕様に基づいて各地に広がっていった蓋を、「名古屋市型」は名古屋市水道敷設事務所を中心に広がっていった蓋のことを指しているのです。

では、「名古屋市型」をご紹介します。


名古屋市の蓋(2011年2月撮影)
名古屋市の市章は、八をデザインした市章ですので、中央は名古屋市の市章ではありませんが、これが典型的な名古屋市型マンホール蓋です。東京市型と同じ「二つの帯」と「扇形」そして「円」で構成されるデザインですが、後述するように明らかに違う点があります。


伊東市の蓋 名古屋市型(2009年3月撮影)
中央に伊東市の市章とその中に、下水をイメージしたデザインが描かれています。

この伊東市なんですが、なんと東京市型のJIS型マンホールもありました。


伊東市の蓋 東京市型(2009年3月撮影)

この伊東市の蓋で見比べて見ながら、それぞれの特徴をまとめてみます。
東京市型:内帯8分割(半円で4分割)、外帯14分割(半円で7分割)の扇形で構成 扇の中T字型の文様が入っている。
名古屋市型:内帯8分割(半円で4分割)、外帯12分割(半円で6分割) の扇形で構成。扇の中には、T字型の文様は無い。

「東京市型」と「名古屋市型」には含まれない蓋

実は上記の分類に含まれない蓋も発見されています。これらは「東京市型」や「名古屋市型」のバリエーションと考えてもよいのではないかと思います。


金沢市の蓋 (2010年5月撮影)
扇の中は東京市型に似ているが、よく見ると内帯は形も違う。そして数も独特。


奈良市の蓋(2011年9月撮影)
一見すると名古屋市型かと思いきや、外帯の扇の数は半円で8個となってオリジナル度が高いですね。


長崎市の蓋(2007年10月撮影)
これも名古屋市型かと思いきや、内帯の数がちがいます。しかも、穴があるべき場所のところに、金具がついていますね。不明ですがこれで引っ張るのかもしれません。

と、ここまでJIS型マンホール蓋の世界を見てきましたが、。一見すると似ている蓋も、よく調べていくとそれぞれに特徴があり、奥が深い世界です。また遠く離れた市町村でもデザインの相似性が見られるなど、離れた土地の関連性を想像することも楽しめます。
さらにご興味のある方は、JIS型マンホール研究の第一人者 yanapongさんがサイト「街を読む」で、詳細に考察されていますので、ぜひ覗いてみて下さい。

参考文献
マンホール図鑑 マンホール研究所 JIS規格模様って何?
日本グランドマンホール工業会 下水道用マンホールふたの歴史





■関連記事
お寺だって死ぬのだ
第1回投稿トマソン発表!
鍾馗の味
虎ノ門・霞ヶ関
ダンメンから町家の履歴を推理せよ!−ダンメンだけじゃないダンメンの鑑賞ポイント: 地層編