アメリカではこの不況にもかかわらず、消費者が市場で大きなパワーを発揮しているといいます。しかし、そのお金の使い道はこれまでとは少し様子が違うようで、お金を「よりよい経験」、「よりよい社会」そして、「よりよい世界」を買うために使うようになっているのだとか。つまり、ただ節約するだけではなく、知恵をめぐらせて消費するようになったということでしょうか。

 120万人以上を対象とし、17年にもおよぶ消費者の意識・嗜好・価値観を分析した書籍『スペンド・シフト』の著者、ジョン・ガーズマらの調査によると、アメリカ人の大半がすでに「ライフスタイルや消費行動を改めた」という回答が集まりました。

 たとえば、「自分を飾るより、自分を賢くするためにお金を使う」、「ただ安く買うより、地域が潤うようにお金を使う」、「モノを手に入れるより、絆を強めるためにお金を使う」、「有名企業でなくても、信頼できる企業から買う」、「消費するだけでなく、自ら創造する人になる」など。

 経済危機によって目覚めた人々は、楽観主義、自助自立、実質重視、勤勉、倹約、地域のつながり、誠実さ、思いやりといった古くからの価値観へと立ち返り、これらを人間関係や仕事、さらには消費習慣にもあてはめようとしています。「宣伝に踊らされてお金を落とす」移り気で受身のかつての消費者ではなく、「自分の意思で目的をもって対価を払う」能動的で思慮深い新しい消費者へと姿を変えつつあるのです。

 この流れは少しずつ日本にも影響を与えています。例えば、11月に横浜の港北ニュータウンにオープンする「Yotsubako(ヨツバコ)」は、贅沢志向のあこがれ消費でも、価格コンシャスな節約志向でもなく、毎日の生活のポイントを「ゆとり」「楽しさ」「等身大」に置く"ライフスタイル消費族"をターゲットにした商業施設です。

 「買い場」ではなく「過ごし場」。従来の商業施設では、「買い物」が目的となるので、「規模」「量」「利便性」などが重要視されています。しかし、Yotsubakoでは、生活に「ゆとり」「楽しみ」を与えるという、もう一面の価値をプラスすることで、「買い物」にとどまらない新たな空間を提供します。

 大きな箱を互い違いに4つ積み上げた個性的なデザインが心を躍らせ、開放感のある空間が気ままに過ごす「ゆとり」をもたらします。気になるテナントは、アンティークからモダンまで、時代と国を超えて集められた魅力的なインテリア雑貨がそろう「Notting Hill Home」が国内初出店。また、本格イタリアンが楽しめる「IL PONENTINO PIAZZA」が銀座に次ぐ2号店を。さらには、東東京エリア発の造花・クラフト用品店「east side tokyo」の2号店も登場します。約30店のテナントは、Yotsubakoのコンセプトに合致したものばかり。

 この場所でしか経験できないコト・購入できないモノがそろうYotsubakoは、つい足をのばしたくなる"新感覚"な商業施設です。

 価格基準だけでなく、モノの質や世界観など様々な基準で選択し、消費行動を選ぶ最近の消費者。その磨かれた審美眼にいかに対応するか、商業施設にも注目が集まります。





『「自分を飾るため」「自分を賢くするため」−あなたのお金の使い方はどっち?〜『スペンド・シフト』』
 著者:
 出版社:プレジデント社
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