財政再建のための“切り札”「競り下げ」とは? 村井宗明氏インタビュー
 日本の国家財政は破局的な危機を迎え、「増税」か「歳出削減」が求められているが、増税で負担を押し付けようとする政治家に、国民の多くが冷ややかなまなざしを投げかけている。
 そんな中で、「増税よりも先に、徹底した行政コスト改革をするべきだ」と主張する若き政治家がいる。衆議院議員の村井宗明氏(富山1区選出・当選3回)だ。彼が掲げる財源策「競り下げ」とは一体どのようなものなのか? 英国・米国などで成功した政府調達の新手法について解説した『総理、増税よりも競り下げを!』(ダイヤモンド社/刊)について、村井氏にインタビューを行った。(記事提供:ダイヤモンド・ビジネス企画)

■英国・米国などで成功した歳出削減策「競り下げ」とは?

―まずは、この本を出版の経緯について教えてください。

村井氏(以下、村井)「財政再建のためには『増税』しかない、と多くの政治家や財務省が言っています。しかし、不況でこんなにも苦しい思いをしている国民にだけ負担を押し付けていいのか?という想いがありました。諸外国で実施している行政コスト改革などの歳出削減すらやっていないのに、日本は安易 に「増税ありき」に流されようとしています。徹底的に行政コストの見直しをして、足りない分だけ増税するのが筋だと思います」

―本書で掲げていらっしゃる「競り下げ」とは、何ですか。

村井「『競り下げ』とは、国の契約での自由競争を進め、行政コストを改善する方式です。入札者は、インターネットを用い、他の入札者の提案した最低価格を見ながら、一定時間の間に何回でも『より安い』入札を繰り返すことができます。この方式を日本にも導入することによって、今まで物資などを割高な「お役所価格」で購入していた行政が、民間企業並みの「民間価格」で物資調達することが可能になります」

―どの程度の財源確保が見込めるとお考えですか。

村井「政府の調達費は年間12兆円です。その1割を下げることで1.2兆円を狙いたいと思っています。独法や公益法人か らの支出も競り下げれば、さらに財源は捻出できます。さらに、競り下げに加えて、まとめ買いをするだけでもかなりの額を捻出できると考えています。例えば ボールペン。今まで一本74円だったボールペンでも、まとめて買うと38円になったという結果があります。こういう事例はまだまだたくさんあります」

―本書で掲げた「脱・お役所価格」とは何ですか?

村井「同じ物を同じ量だけ購入しても、民間企業と行政では支払う金額が違います。民間企業では、徹底したコスト削減のため、定価から2割から3割は『値切る』ことが常識です。しかし、行政等では、値切り交渉をする慣習もシステムもありません。そのため、必死に値切る民間企業 の『民間価格』より、行政等の『お役所価格』はどうしても高くなってしまうのです。その価格を民間並みの価格に下げるのが『脱・お役所価格』です」

―とはいえ、業者などからの反対意見もありそうですが…。

村井「たしかに、賛否は分かれます。当然、今まで契約していた公益法人を中心とする『お決まり業者』は、これまでどおり の方式で自分たちが仕事をとって、高い『お役所価格』を払ってもらう方が良いので、反対するでしょう。しかし、中小企業の関係者などからは、『実際に、ほとんど の中小企業は、国の仕事には参入できていない。いつも公益法人などの一部の「お決まり業者」ばかりが契約を取っている。競り下げなどの自由競争を進めれ ば、安くはなってしまうけど、私たちにも参入できるチャンスがあるのでいい』という意見もあがっています」

―「競り下げ」方式について、はじめて知ったときのことを覚えていますか。

村井「これで日本の財政は救われる!と思いました。そしてその興奮のまま、すでに『競り下げ』方式を導入していたイギリスに飛びました。イギリスの財務省で話を聞いたりして、必死に実態を調査しながら『競り下げ』について深く学び、帰国の途についたあとも、その興奮が冷めることはありませんでしたね。日本でも、これを実行しなければならない!そんな熱い思いで燃えました」

―『総理、増税よりも競り下げを!』というタイトルからも、強い意気込みが伝わってきますね。

村井「不況の中、限界までコストに絞って経営している民間企業や、ギリギリまで家計を節約している主婦の皆さんに、増税で負担を押し付けていいのか? 国のコスト意識がゆるいまま、今の支出を続けていていいのか? 常にそう思っています。この財政的な危機を招いた私たち政治家の責任は、与野党を越えて深刻に受け止めなければなりません。真剣に、この国の経営を立て直さなければならない。それが、私たち国会議員に課せられた使命だと考えています」

―最後に一言、メッセージをお願いします。

村井「書籍の中で述べたことですが、私たちは評論家ではない。私たちは政治家である。その違いは一つ、意見だけで終わらせるか、実際に実現させるかです」

(記事提供:ダイヤモンド・ビジネス企画)



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