原田芳雄『B級パラダイス』29年ぶりに復刊

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 今年7月に死去した俳優の原田芳雄さん。
 『反逆のメロディー』『竜馬暗殺』などの映画に始まり、『火の魚』『白洲次郎』『高校生レストラン』などのTVドラマにも出演、独自の存在感を示し続けた彼は文句なしに、一時代を築いた名俳優でした。
 『B級パラダイス』復刻版(KKベストセラーズ/刊)は彼が自身の生い立ちから、仕事や演技、生き方までをつづったエッセイ・対談集ですが、その中の下積み時代のエピソードは実にリアリティに溢れていて、ワイルドでアウトローな彼の演技の側面を見る思いでしたので、一部紹介します。

■悪知恵を働かせて食糧調達
 仲間うちで芝居をやりながらの無職時代。貧乏生活を続けて悪知恵が働くようになった、という原田さんは近所の3、4歳の子供を集めては神宮外苑に連れて行き一日中遊んであげ、子どもたちに「お兄ちゃんに遊んでもらったんだよ、ってお母さんに言いなさい」と言って帰すことを思い立ちます。
 そうすると子供の親からお礼ということでおかずなどの食べものをもらえることがわかり、味をしめたのだとか。
 今やったら事件になってしまいそうです。おおらかな時代だったことを感じさせるエピソードですね。

■インチキ履歴書で俳優座養成所へ
 2年間の貧乏生活の後、原田さんは友人のすすめもあり俳優座の養成所に入ることを決意しますが、同時に月謝を払える人でないと入れないことを知ります。
 もちろん自分で払えるはずもありませんし、家も勘当同然だったため親に払ってもらえる見込みもありません。
 普通ならそこで諦めてしまうところでしょうが、原田さんは違いました。とりあえず入ってしまえば何とかなる、ということで、履歴書には裕福な環境であるとウソを書き、試験を受けて無事に養成所に入ることになりました。
 ちなみに入学金は友達のステレオを質屋に持って行き、支払ったそうです。

 原田さんは当時を振り返って「芝居が面白くて仕方ない時分」だったと語っています。打ち込めるものがあったからこそ、貧乏な時期も乗り越えられたのかもしれませんね。

 本書には原田さんのエッセイの他にも、松田優作さん、桃井かおりさん、タモリさんなどとの対談も収録されています。気鋭の俳優・タレントとの対談からはその時代の空気や、各人のオーラ、勢いが伝わってきて、こちらも今となっては貴重な資料だと言えます。

■原田芳雄のコピーだらけだった!
 先に逝ってしまった松田優作さんは原田さんの大の信奉者で、しぐさから台詞まわしまで徹底的に研究し模倣したという話は有名ですが、それを裏付けるくだりが本文にあるので紹介しましょう。(原田芳雄は俳優座、松田優作は文学座出身です)。優作さんはこう言っています。
 「文学座の研究生みんなマネしてて、あのコートなんかなつかしいよ。みんなが原田芳雄ふうに着てて、もう、たくさんいるわけよ、原田芳雄が(笑)。あれで俳優座いたらしいぜって、ふしぎでね。なんちゅうか、今までの芝居と全然違うでしょ。絶対できっこないなって、大変な人気だったんだから。」
 これほどの個性と存在感のある俳優がなくなられて、今さらながら残念でなりません。
(新刊JP編集部)



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