2011年10月13日配信の「しみマガ」より抜粋


 ザックジャパンがタジキスタンに8−0と快勝し、勝ち点7でワールドカップ3次予選のグループ首位に立ちました。相手が格下とはいえ、日本は非常にテンポの良い試合を展開したので、長居スタジアムに訪れたお客さんも十分な満足感を得られたのではないでしょうか。

 タジキスタンは、メンバー登録の不正によるシリアの失格で、2次予選から繰り上げ通過を果たしたチーム。いわば「棚から牡丹餅」で3次予選に参加しているわけで、勝負にかける本気度はウズベキスタンや北朝鮮に比べるとかなり低かったと思います。

 それを裏付ける事実も一つ。実は試合の前日、サッカーメディアの同業者が大阪の街でタジキスタンの選手と遭遇しているのですが、そのとき彼らは、今回のメンバーから内田篤人がケガで招集外となっていることを知らず、「ラッキー!」と喜んでいたそうです。

 シャルケでプレーする内田のことは知っているけど、内田が今、ケガしていることは知らない。その程度の情報さえも、タジキスタンには入っていないようでした。

 さらに試合後の記者会見で、ラフィコフ監督は「(突然3次予選への出場が決まったことで)我々にはとにかく時間がなかった。日本のことは、スピードが速くてテクニックのあるチームという印象は持っているが、個人の分析はしていない。(ハーフナー・マイクについて)高さのある選手を使ってくるプランは予想していたが、ハーフナーという選手個人については知らない」

 と語っています。やはり日本チームの分析はほとんどできていない様子。

 タジキスタンの出場が決まってからわずか2カ月足らず。このようなタジキスタンの情報戦の拙さを見る限り、相手どうこうよりも、自国の代表チームを再起動してアウェーへの遠征の準備をするだけで精一杯だったのでしょう。不意に組まれたスケジュールですから、タジキスタンが旧ソビエト圏の最貧国であるという事情を考えても、予算面で苦労したことは想像に難くありません。

 一方、日本の場合はその2カ月の間にも、タジキスタンのビデオを取り寄せたり、現地事情を視察してアウェー遠征に備えたり、さらにJFAからタジキスタンに出向しているコーチを情報源にするなど、さまざまな対策を打ち出しました。

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