統一球、少しずつ打てるようになってきた|2011年NPBペナントレース

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NPBもシーズン終盤、今年は統一球と審判部再編によって投高打低に大きくシフトした年として記憶されそうだが、ここへきて少しずつ打撃が盛り返しているように思える。

6月25日時点と昨日のセパ両リーグ各チームのRC27、ERAの数字から投打のバランスがどう変化したかをみてみる。

セリーグではRC27が4.4%前後向上している。大きな伸びではないが、統一球に慣れて少しずつ打てるようになってきたことが分かる。興味深いのはERAも向上していること。ERAとRC27は直接の因果関係のある数字ではないが、打撃の数字が上がれば投手の数字が下がるのが普通だ。しかし、どちらも少しずつ向上している。これは安打や四球などの出塁が増えても、投手が点を取られていないことを意味する。各チームの戦力が拮抗し、より引き締まった試合が多くなっているのだ。

パリーグはRC27の伸びは顕著ではないが、ERAが下がっている。これは、セリーグとは反対に、パリーグの投手が失点しやすくなったことを意味する。チーム間の格差が広がってきたことを意味すると思われる。特に日本ハムの凋落が著しい。

では、個人成績はどう変化したか?6月25日時点と昨日のセパ両リーグ各チームの規定投球打席、回数以上の3割打者と防御率2点台以上の選手の数をみてみる。

セリーグの3割打者は1人減っているが、打率7位の選手までが.295以上。6月時点では打率7位は.278だったので、実質的には打率を上げている選手が増えている。防御率1点台は1人減っている。

パリーグは3割打者が1人増えている。これは内川が規定打席に達したことによる。パでは防御率1点台の投手が半減した。

少しずつ統一球を打つことができる打者が増えている印象がある。また、統一球のおかげで数字を上げていた投手の中には、息切れした投手も散見される。

こういう形で適者生存が進むのだろう。ラビットボールをやめたときも、球場を広くしたときも、当初は大きな落ち込みがあったが、徐々に投打のバランスは戻っていった。打者が環境変化を克服していったのだ。野球はこうして進化するのだと思う。

来季は今季よりも打撃成績は向上するだろうと思われる。

セリーグでは統一球を検証するようだが、こういう傾向についてもぜひしっかり検証してほしい。軽率に「面白くないから統一球やーめた」と結論づけないでほしい。