行政の“ムダ”コストを解消する「競り下げ」とは?

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 現在、政界では復興財源をどう確保するかという議論の中で、消費税や所得税の増税が検討されています。期間限定の増税とはいえ、この不況下での増税は国民の生活にとって痛いもの。案の定、各方面からは様々な懸念の声があがっており、今後は与野党協議を経て、野党側の意見を踏まえた上で決断する方針だといいます

 この増税案、国民の眼から見れば、まだまだ無駄な行政コストを削減できるのでは? と思うところも多いでしょう。現役衆議院議員で衆院災害特別対策委員長の村井宗明氏は、著書『総理、増税よりも競り下げを!』(ダイヤモンド社/刊)において、行政コスト削減の手段として「競り下げ」を提案しています。

 「競り下げ」とは、入札方式の1つ。
 これまでの日本の行政の政府調達には「封印入札」という入札方式が用いられてきました。これは、各業者が一回目の見積もりを提出した時点で落札会社と金額が決定するというものです。
 例えば20台のコピー機を購入したとします。この「封印入札」では、A法人が2000万円、B社が2050万円、C社が2100万円の金額を提示したとすると、この時点で一番価格の低いA法人に決まります。入札者同士は互いに提示金額を見ることができません。とても単純明快なシステムです。
 しかし、このシステムで運用されてきた結果、現在ではいつもお決まりの業者が「お役所価格」で受注するという状況が生まれていると村井さんは指摘します。
 その打開策が「競り下げ」です。

 「競り下げ」とは、インターネットを使い、入札者が他の落札者の提案した最低価格を見ながら一定時間の間なら何回でも「より安い」入札を繰り返すことができる方式のことです。今まで割高な「お役所価格」で購入していた公的機関が民間企業並みの適正価格で物資を調達することが可能となるほか、これまで一部の特定業者へ偏っていた発注も解消されると村井さんはいいます。さらに、これまで参入しづらかった中小企業も、最も得意な一品で勝負できる点から有利に働くと指摘します。
 アメリカやEU、韓国では「競り下げ」の導入によって行政コストを劇的に削減しており、日本でも2010年7月に民主党政権下において財源確保のための有効な手段として、「競り下げ」方式導入の検討を閣議決定しましたが、業者の強い反発もあり、実際の導入はゆったりしたペースになってしまっています。

 『総理、増税よりも競り下げを!』で村井さんは、「競り下げ」の導入をはじめとした行政コストの改善を一貫して主張し続けています。
 もちろん行政コストの改善だけで全てが解決するわけではありませんが、自分たちの身を洗ってムダを見つける、つまり行政コストの改善を検討することも大切なことです。これからも増税についての議論は続きそうですが、国民の多くが納得する結論に落ち着いて欲しいものです。
(新刊JP編集部)



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