松下忠洋経済産業副大臣は、10月6日、「クール・ジャパン」の売り込み支援のため、アパレル・食関連の中小企業等を同行して、シンガポールを訪問した。同日シンガポールで開催される「クール・ジャパン月間」オープニング・レセプションに、同国チャン・チュン・シン国務大臣(情報通信・芸術担当)兼コミュニティ開発・青年・スポーツ臨時大臣とともに出席し、シンガポール政府関係者、産業界、メディアに「クール・ジャパン」関連事業の紹介を行った。

 今回の経済産業副大臣の訪問は、9月23日に枝野幸男経済産業大臣とヤコブ・イブラヒム・シンガポール情報通信・芸術大臣が合意した両国間の「クリエイティブ産業協力」の具体化の第一弾となるもの。

 「クール・ジャパン月間」とは、10月からシンガポールで開催されるファッション、デザイン、アニメなど、日本の文化・創造性を活かした、いわゆる「クール・ジャパン」関連の商品・サービス等をシンガポールに紹介する関連行事を、官民で統一的にPRしていくためのキャンペーン。

 経済産業省では、関係各省と協力し、「クール・ジャパン官民有識者会議」提言に基づき、2020年の世界の文化産業市場において、8〜11兆円の獲得を目指す「クール・ジャパン」戦略を進めている。

 この目標を実現するため、今年度から、コンテンツ、ファッション、食、地域産品・伝統文化・匠の技術などの分野で、中小企業等の海外販路開拓を重点的に支援する「クール・ジャパン戦略推進事業」を実施している。公募により13事業を選定、このうち3事業(東北の食・ファッション・コンテンツ分野)を東南アジアの情報発信拠点であるシンガポールで実施する。

 具体的には、東北の生産者と連携する外食、加工食品、流通、シュフ、パティシエ等が協力し、新たなメニュー開発や国内外の販路開拓を進める。シンガポールの外食企業と提携し、共同でメニュー開発を進めるほか、シンガポールのレストラン・チェーンで紹介し、東北の食材も含め日本の新しい食ブランドを構築する。

 また、日本のストリート・カルチャーを代表する原宿の15のアパレルブランドが共同で、シンガポール・オーチャード通りの百貨店(Tangs)で、10月から3ケ月間アンテナ・ショップを運営し、現地消費者の向けに「原宿ブランド」をPRし、現地消費者の反応やニーズを把握する。ネット販売などを通じ、現地での話題づくりも仕掛けながら、現地の小売・流通企業等とのビジネス・ネットワークを構築し、アジア全域でのビジネス展開を目指す。

 さらに、日本の中小コンテンツ企業とキリン、トヨタ、パナソニック、キヤノン等現地日系企業が協力し、キャラクター開発などを進めながら、日本ブランドを広め、日系企業のイメージ・アップと中小コンテンツ企業の海外展開を後押しする。