東京・両国国技館での秋場所は、いまひとつ盛り上がりに欠けるものとなった。
 「これだけお客が入らなければ、活気が出ないのも致し方ない。八百長問題のしわ寄せがいっぺんに来た感じで、前半は半分も入ればいい方でしたから。次はお客が入らないことで定評のある九州場所。協会主脳は早くも青い顔をしていますよ」(相撲担当記者)

 しかし、盛り上がらなかったのは不入りのせいだけではない。この場所は先場所の覇者、日馬富士の綱取りを筆頭に、鶴竜、琴奨菊のダブル大関取りなど、久しぶりに話題、見どころの多い場所で、「新ヒーローが出現しそうだ」と大相撲関係者の表情も明るかった。その空気を叩き潰したのが、日馬富士の早過ぎる脱落だったのだ。
 なにしろスタートした直後の2日目には平幕の隠岐の海に取りこぼし、序盤の5日目までに3敗を喫して、あっという間に綱取りという最大の話題を潰してしまった。
 「ひと言で言えば、朝青龍アレルギーに潰されたんですよ。大相撲界には、2人目の朝青龍は作らない、という強い思いがある。ところが、日馬富士はトラブルを起こして厄介払いされた朝青龍を誰よりも尊敬し、先場所後もモンゴルに帰国して真っ先に朝青龍に優勝を報告していますから。日馬富士を横綱にしたら大変なことになる、という空気が協会全体に広がり、皆で潰しにかかったんですよ」(協会関係者)

 そう言えば、場所前の一門の連合稽古でも、日馬富士は若手の魁聖や新十両の旭秀鵬らを情け容赦なく後ろの羽目板に叩きつけるなど、朝青龍も顔負けのダメ押しを連発。見かねた友綱親方(元関脇魁輝)に、厳重注意を受けている。日馬富士はあまりに空気を読めなさ過ぎたのかもしれない。