とんだところで去年の理事選の後遺症がヒョッコリ顔を。琴奨菊(27)、稀勢の里(25)の両関脇の活躍で大いに盛り上がった秋場所は、横綱白鵬(26)がV20を達成。平成18年初場所の栃東以来、33場所ぶりの日本人力士優勝という大魚を逸した琴奨菊だが、悲願の大関昇進の切符は手にした。
 「日本人大関の誕生は琴光喜以来の4年ぶり。協会首脳もホッとしている。八百長問題などの煽りを受けて、秋場所前半は連日、4000枚以上の入場券が売れ残るなど、閑古鳥が鳴いていました。次は不入りで定評のある九州場所。琴奨菊はご当所、福岡県柳川市出身。引退した魁皇に代わる目玉の出現で、少しは入場券も売れるはず」(担当記者)

 琴奨菊の活躍は、相撲協会にとってまさに救いの神だったのだ。しかし、「本気で協会のフトコロ具合を考えているんだったら、もっとグッドアイデアがあった」と協会関係者は漏らす。白鵬に最初に土をつけるなど、琴奨菊と並んで12勝を挙げた稀勢の里とのダブル大関昇進プランだ。
 「稀勢の里の直近3場所の成績は、8勝、10勝、12勝で計30勝にしかならず、とても大関合格ラインには到達しない。しかし、ダブル昇進となると、片方の力士の基準は甘くなるのが通例。稀勢の里は17歳で十両に昇進し、早くから日本人力士のホープとして期待されてきただけに、琴奨菊らには見られないカリスマ的人気がある」(同)

 相撲協会は、この秋場所から敢闘精神を評価するマークシート投票を導入した。その栄えある1回目の“敢闘精神王”にも、稀勢の里が豊真将や白鵬らを抑えて輝いている。ちなみに琴奨菊は4位だった。
 この稀勢の里を、琴奨菊と抱き合わせて大関に昇進させれば、たちまち相撲人気が息を吹き返すのは目に見えている。審判委員の一部からもこのダブル昇進を推す声が上がったが、
 「稀勢の里はもう1場所、様子をみましょう」
 と、実にあっさり退けられた。蹴飛ばしたのは貴乃花審判部長だった。
 「稀勢の里の師匠は鳴戸親方(元横綱隆の里)。貴乃花親方にとって、鳴戸親方は去年の理事選のとき、二所ノ関一門内で立候補を争い、一門を飛び出すきっかけになった恨みがある。その弟子である稀勢の里の大関昇進をとても素直に喜べる心境じゃなかったんでしょう」(協会関係者)

 理事選は荒れそうだ。