このところ、ARという言葉が一般的になってきました。ARとは「Augmented Reality」の略で、日本語では拡張現実と呼ばれる概念。

 そう聞くと、なんだか難しく大層なモノに思えてしまいますが、私たち日本人は、漫画やアニメで常日頃から目にしてきたものとも言えます。例えば、『ドラゴンボール』に出てくる相手の戦闘力を見ることのできる眼鏡形のスカウターや、『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドもARの一種と解釈できます。

 このARの技術は、すでにさまざまな分野で取り入れられており、iPhoneアプリとして有名な「セカイカメラ」、箱根にCGで再現された巨大なエヴァンゲリオン、マーカーをウェブ・カメラで読み取るとアイドルの3D映像が出現するプロモーションキャンペーンなど、すでにAR技術を目の当たりにしたり、ARコンテンツを楽しんだりしたことのある人も多いはずです。

 『AR−拡張現実』の著者の小林啓倫氏は、2010年6月にアメリカで開催されたAR関係者のイベント「ARE2010」に参加し、AR業界について次のような印象を持ったと言います。

 「決してグーグルやマイクロソフトのような巨人が支配する世界でもなければ、米国企業が独占している世界でもない。さながら世界各国からプレーヤーが集まり、小国のチームでも世界を驚かすことができる、ワールドカップのような場所」

 さらに特筆すべきは、日本企業にチャンスを感じたということ。「ARE2010」で小林氏が目にした各国のアプリケーションや活用事例は、「ARのためのAR」が多かったのだとか。さまざまな広告やプロモーションなどにおいてARが活用されている事例は明らかに日本より多いのですが、その中身を見て見ると、単に映画のキャラクターが出てきて簡単な遊びができるだけ、といったものが少なくなく、それがビジネスモデルとして使えるかというと素直に賛同できなかったそうです。

 その意味では、日本にはコンテンツ産業を培ってきた下地があります。単に「面白い見せ物」を作るのではなく、その中に物語や奥行を持たせることは、日本企業が得意とするところだと感じたと著書の中で述べています。

 日本でこのAR技術を駆使した最新のアイテムを紹介すると、例えばARシューティングゲームの「アプブラスター」が9月に発売されます。これは、iPhone/iPod touchの画面を通して見た風景上にエイリアンが出現し、それをレーダー銃で倒していくというもの。専用のレーダーガンにiPhone/iPod touchを装着し、拡張現実させることで日常の場が宇宙の戦場となり、360度全方位からエイリアンが襲い掛かってきます。

 他にも、専用アプリを使うことでiPhone/iPod touchがコントローラーになり、ラジコンを臨場感たっぷりのサウンド付きで操作できる「アプレーサー」や、ラジコンヘリを操作できる「アプコプター」など、玩具の分野でもすでにAR技術が取り入れられ、日々進化しています。

 日本発ARの独自性をもったこれらのアイテムが、世界に進出する日もそう遠くはないのかもしれません。


【関連リンク】
アプリズムシリーズ「アプブラスター」





『日本発のARコンテンツは、世界で成功する可能性大?』
 著者:
 出版社:毎日コミュニケーションズ
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