読み飛ばすのは勿体ない「新聞コラム」

写真拡大

 新聞を読むとき、どこから先に読むかは人それぞれだが、大抵の場合一面にあるにも関わらず読み飛ばしてしまったり、見落してしまいがちなのが一面下の「コラム欄」だ。

 この「コラム欄」をあなどってはいけない。その時最も世間の関心の高い事象を取り上げていて、目を通せば「旬」な話題がわかり、なおかつそれぞれの新聞社で最も知識・筆力に優れた記者が執筆していることから、下手な作家顔負けの名文を味わうことができる。

 竹内政明氏といえば読売新聞朝刊のコラム『編集手帳』を執筆している名物記者である。同氏のコラムは『読売新聞朝刊一面コラム―編集手帳―』(中央公論新社/刊)として書籍化もされており、8月10日に今年1月〜6月のコラムを掲載した第20集が出版された。

 ほとんどの日本人が同じような感慨を持っているに違いないが、今年の上半期は本当にいろいろなことがあった。竹内氏はそれぞれの出来事をどのようにつづっているのだろうか。

■大学入試カンニング事件
 まだまだ記憶にあたらしいこの事件。逮捕された19歳(当時)の予備校生が襲われているに違いない後悔の念を拾い上げ、竹内氏は「悔いの八千度」(何度でも後悔すること)という言葉を解説している。
 普段目にすることの少ない言葉、または現在あまり使われなくなった言葉に触れさせてくれるのも新聞コラムの魅力の一つだ。

■東日本大震災
 今年上半期の出来事で最も大きかったのは間違いなくこれだろう。さすがの竹内氏も被災地の光景には言葉がなかったらしい。

言葉で世渡りをする手前、「言葉にならない」は禁句にしてきたが、その光景をどう言い表わそう。川を遡った津波が田畑を呑み、家屋や車を押し流す。「まさか、あの家に人が……」「まさか、あの車に人が……」と、“まさか”の一語だけを馬鹿のように胸のなかで繰り返している。

と、津波被害の現場を見た衝撃を振り返っている。

■福島第一原発事故
 ことによると、首都圏の人は震災そのものよりも原発事故に対する脅威のほうが大きかったに違いない。
 この出来事に対しては、竹内氏はジョークを引き合いに出して「福島原子力発電所事故対策統合本部」を皮肉っている。
 ジョークとは
「君のオフィスでは、どのくらいの人がはたらいているの?」
「半分くらいかな」
 というもの(前者は人数を聞き、後者はまじめに働いている人の割合を答えている)。

 これにかけて竹内氏は、専門家を集めたはずの「福島原子力発電所事故対策統合本部」があまりに機能しないことを、前述のジョークのように“半分くらい”しか働いていないのではないか、と言っているのである。

 毎日の新聞コラムも書籍化されてまとまると、その時期にあった出来事をふりかえることができる。同時に執筆者が引用した詩歌や文学作品の一節、名言などに触れることで、知識の幅が広がるという効果も期待できる。
 新聞コラムは読み飛ばすにはあまりにも惜しいコーナーなのだ。
(新刊JP編集部/山田洋介)



【関連記事】 元記事はこちら
女性はどれくらいマスターベーションをするのか
高年収のビジネスパーソンに5つの共通点
「原発はエコ」は大ウソ
イマドキの女性はどんなセックスをしているのか?