女子高生・悩み最前線から

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無料メール・カウンセリングをやっていることから、どうしても相談受付は若年層が多くなります。匿名で個人情報一切なしなので、さまざまな相談が気軽に寄せられ、ある意味で現代若者のお悩み事情のカオス状態です。明らかにパーソナリティ障害や統合失調症の症状であったり、学校への不満、恋愛相談であったり……。

カウンセリング全般にも言えることですが女性からの相談が多く、従って女子高生が圧倒的多数になっています。そんな彼女らの悩み事情を少しご紹介しますね。

もっとも多いカテゴリは“人間関係”です。これは女性の場合、社会人になってからも同じで、厚労省調査でも民間調査でも、ストレッサー(ストレス要因)のトップが女性の場合“人間関係”ですから、当然の結果だと思われます。

まずは、“友達”。
彼女たちはフラットに多くの友達関係をつくりますが、心友(親友)とのコミュニケーションには結構真剣な目を向けています。個人的な相談をできる相手がいないと、それを“孤独”として悩みます。また、相手の信頼度に対して疑心暗鬼な自分の性格を嘆くこともあります。「表面的な友達ばかり」という孤立感が、賑やかな交友関係の裏側には垣間見れるんですね。“親友の数”調査でも、携帯のメールアドレスの登録数をそのまま答え40人、などと言う割には、こんな現実があるようです。

また、いじめ問題も深刻です。これは小学6年生くらいから相談メールが来ます。統計では中学2年がピークで高校3年にかけて漸減していますが、まさにこの世代が中心です。明日・明後日の苦痛にさらされている彼女たちには、カウンセリング技法など効果はありません。現実的な対処が迫られます。
ただ女子の場合は、暴力系のいじめではないので、男社会でのノウハウ(一度くらい殴り返すなど)が通用しません。先生への相談や親を巻き込むこともできないタイプの人が多く、個々のケースで話を聞いてあげるしかないのです。いじめられている人、いじめ体験のある人などが相互に連携している素晴らしい専門サイトがあるので、そこの管理人の方と提携して精神的なバックアップを図ることもあります。
それにしても、陰湿なケースが多く驚きます。いじめに加わった人も、後々それを自分の“黒歴史”として悩んでいます。関係者すべてが不幸になる世界ですね。

ほかに多いのは恋愛系です。カウンセリングとは本来、“問題解決型”であるべきなので、心理療法だけでは成り立ちません。男サイドとしての心理を赤裸々に語ってあげて、女子としての疑問や迷いに情報提供をします。肉体関係に関しては、中学生くらいから“彼氏”とは当然の行為として語られるケースがある反面、彼氏からのアプローチに「軽い女と思われたくない」ために、応じる時期を熟慮しているケースも多く見られます。さまざまだと言ってしまえばそれまでですが、基本はOK、でも一線を越えるのは慎重、というのが一般的なスタンスのようですね。

そしてまた多いのがGID、つまり性同一性障害です。
これは学校教育の場ではすでにかなりオープンになっています。医師の診断も従来の18歳まで保留することなくGID認定をして、教育委員会から「男子の制服着用」の了解が出たりしています。心の性が男性である彼女らは、制服のスカートを履くことだけでも過度なストレス反応を示します。
GIDはレズビアンとは違いますから、性癖の問題だけでは解決できない、人生すべてを見通して「自分はどう生きて行くのか」を思春期に問われているわけです。好きな人(同性)へのカミングアウト(=告白)も、関係の崩壊だけではなく、“社会の現実”を突き付けられる恐怖でもあるんです。でも、親へのカミングアウトは皆さん、意外とスムーズみたいです。“一過性”として親が聞き流している可能性もありますが、とりあえず全否定はされないようで、これは“親たちの世代”がすでにそうした問題に対してオープンになりつつあるからでしょう。

あとは、親子関係。これは根深い問題です。AC(アダルトチルドレン)、虐待体験のPTSD、こういうものが潜んでいるケース。普通に「勉強やれ」とうるさい親には、彼女たちもそれなりに感謝や愛もありますから、日頃の反抗心とは裏腹に、メール相談するほどの悩みにはなっていません。ほとんどが幼少体験に由来するものばかりです。
性的虐待もあります。これはいわゆる“親友=心友”にも言えない過去です。また、小学生時代に母親が“うつ”になっていて、心ない言葉をあびせられた経験のトラウマ、こういうケースはこれから増えてくるでしょう。
幼少体験の影響は、友達との悩み共有が難しいんですね。だから孤独の中で悶々とひとり闘っているんです。表面は普通の女子高生なんですが、家でのストレスは尋常ではありません。深刻な親子関係には幼少体験あり、です。

人間関係カテゴリの他で最も多いのは、リスカ問題です。
リストカットは自殺企図を意味する場合よりも、むしろ“生きたい”ための行為です。マスコミ報道は少し基本認識が足りないから注意が必要です。お酒にたとえるとよく分かります。肝臓には悪いが、飲酒するとテンションが上がるし、気分も落ち着く、けれども習慣化するし深酒は危険。リスカはそれぞれの悩みの深さを物語るものではあります。本人の自意識も“してはいけない行為”です。リスカの背後にある悩みを聞き込んでいく、これが先決です。
普通に明るく、彼氏もいる女子高生。そんな彼女たちでもちょっと病むと、切って落ち着く現実があるようです。ただ彼女らはそれを話します。隠さない。そこに“暗黙のメッセージ”があります。

流行をつくり、ネットに過激なことを書き込み、電車の中で大騒ぎする彼女たちの、日常に潜むちょっとした暗部、そこにはやはりそれなりの深い人間ドラマがあるものです。また機会があったら、項目別に掘り下げたリポートをして行きたいと思います。


※この記事はガジェ通ウェブライターの「pape.佐野」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
30年のサラリーマン生活後、心理カウンセラーとしてNPO法人東京カウンセル設立、無料のメール・カウンセリングを行っています。「無料」そして「匿名メール」という気楽さから、多種多様な年齢層の恋愛問題から精神疾患まで、現代の「悩み」「トラブル」「精神医療の実態」全般に精通しています。日々の事件報道も、関わる個人の心理に踏み込んで行くと、物事の真相が理解でき、また悪いことも善いことも、共感の中に消化できるものです。少し違った視点からの記事をアップしていきたいと思います。