「大阪市をぶっつぶして、大阪都をつくる!」。「大阪都構想」の公約を引っ提げて、4月の統一地方選で自らが率いる地域政党「大阪維新の会」を府議会で単独過半数(57議席)に押し上げ、市議会でも第一党(33議席)にするなど圧勝した橋下徹大阪府知事。その勢いはとどまるところを知らず、今度は府知事を辞めて大阪市長選(11月27日投票)への鞍替出馬を狙っている。

 ここまで橋下知事が強気でいられるのは、2008年2月の府知事就任以来の高い支持率のおかげ。一時は80%を超えるほどの人気ぶりだった。当然、11月の市長選でもライバル候補の平松邦夫現大阪市長に圧勝すると、誰もが予想していた。ところが、ここにきて異変が。支持率に陰りが見えるのだ。地元紙記者がこうささやく。

「確かにピーク時、橋下知事の支持率は80%近くありましたが、今はかなり下がっている。ある在阪メディアの調査によれば、今年4月の時点で50%台にまで下落しています」

 ホント? そこで、大阪市北区の天神橋筋商店街に突撃し、買い物中のおばちゃん50人に橋下知事の支持、不支持を聞いてみた。ここで井戸端会議をして、大阪の世論形成を担っているおばちゃんたちに尋ねれば、だいたいのことはわかるはずだ。

 すると、驚くべきことが判明した。なんと、橋下知事の支持率は50%割れ。市長選も平松市長に僅差だが、負けてしまうという結果になったのである。以下はそのアンケート。

● きたる大阪市長選、平松市長と橋下知事のどちらに投票しますか?
・橋下 19人
・平松 20人
・決めていない、ほか 11名

 ちなみにこの春、同じ場所でやはり、おばちゃん50人にアンケートを行なった際、橋下知事の支持率は66%だった。心変わりの原因はなんやねん?

「平松さんに投票するわ。なんでって? あのな、最近、橋下はん、人気ぶりにあぐらをかいてるせいか、態度がエラそうやし、言うてることが傲慢(ごうまん)な感じがするねん」(50代のおばちゃん)

「橋下知事は好き放題やりすぎと違うか? 最近、『オレが、オレが』になってきてるな。もっと、しおらしゅうせんとアカンわ」(60代のおばちゃん)

 敵をはっきり設定し、あえて挑発することで世論の気を引き、味方につける“ケンカ殺法”が橋下流政治。ただ、ここにきてその強引すぎる手法に批判が集まっているのかも。前出の地元紙記者が続ける。

「4月の統一地方選で勝ったこともあって、発言はより過激に、行動はより強引になっています。例えば、大阪維新の会の会合で、『(市長当選後は)大阪都構想に反対する市職員は根こそぎ外す』とぶったり、6月の政治資金パーティで『今の日本の政治に重要なのは独裁』と公言したり。当然、そうした知事への反発も大きくなり、人気凋落(ちょうらく)に結びついているのでしょう」

 橋下知事がこだわる「大阪都構想」もケチョンケチョン。評判は芳しくない。

「都になろうなんて、橋下さんは大阪に東京のマネさせるつもりなんか? 大阪は大阪のままでええやん」(50代のおばちゃん2)

「大阪市を壊して大阪都にする? アカンアカン。ウチがもらっとる市からの補助(金)がなくなるかもしらんやろ。橋下さんには反対や」(60代のおばちゃん2)

 知事、これでも市長選に鞍替え出馬します?

(取材/ボールルーム)

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